塩化ロジウム(読み)えんかロジウム(その他表記)rhodium chloride

改訂新版 世界大百科事典 「塩化ロジウム」の意味・わかりやすい解説

塩化ロジウム (えんかロジウム)
rhodium chloride

ロジウム(Ⅰ),(Ⅱ),(Ⅲ)塩が知られているが,なかで重要なのはロジウム(Ⅲ)塩である。

化学式RhCl3。無水和物のほかに3,4水和物が知られ,市販のものは3水和物に相当する組成をもつ。無水和物は褐赤色粉末で,水や酸に溶けず,水酸化アルカリ溶液中で分解する。強熱するとロジウムに還元され,水素があれば190℃くらいで還元が起こる。水和物は,暗赤色の潮解しやすい結晶で,水やエチルアルコールに溶ける。希塩酸に溶けてヘキサクロロロジウム(Ⅲ)酸H3[RhCl6]を生成する。100℃以上で酸化ロジウムと塩化水素に分解する。

 塩素中でロジウムを加熱するか,塩化水素中で水和物を加熱すれば無水和物が得られる。3水和物はロジウムと塩化カリウムの混合物を塩素中で加熱し,生成物を溶液としてから蒸発乾固して得ることができる。3水和物はロジウム錯体合成の出発物質となる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

化学辞典 第2版 「塩化ロジウム」の解説

塩化ロジウム(Ⅲ)
エンカロジウム
rhodium(Ⅲ) chloride

RhCl3(209.27).三塩化ロジウムともいう.金属ロジウムに塩素を通じ加熱すると得られる.無水物は赤褐色の粉末.水,酸に不溶.水酸化アルカリにより分解する.三水和物は赤褐色.潮解性があり,水に溶けてバラ色となる.硫化水素により沈殿を生成する.触媒原料,ガラス・陶磁器着色剤,写真工業,ロジウム化合物の合成原料として用いられる.[CAS 10049-07-7:RhCl3][CAS 13569-65-18:RhCl3・3H2O]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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