塩安ソーダ法(読み)エンアンソーダホウ

化学辞典 第2版 「塩安ソーダ法」の解説

塩安ソーダ法
エンアンソーダホウ
ammonium chloride process

ナトリウムあるいは塩素の利用効率向上をはかったアンモニアソーダ法の改良法.粗炭酸水素ナトリウムを分離した母液1 L 中には,NH4Cl190 g,NH4HCO383 g,NaCl 77 g,NaHCO37 g 程度が含まれるため,塩化アンモニウム(塩安)と食塩とを回収してナトリウムと塩素の利用率を向上させる.NaHCO3液から塩安を製造する方法は種々あるが,結局はNaCl濃度を高め,最後に冷却して塩安を析出させている.冷却工程の前の操作により,冷却法,蒸発法,および中間塩法などがある.現在,わが国では,主として冷却法が行われている.冷却法では,まずNaHCO3液にNH3を吸収させ,HCO3イオンの溶解性を増大し,別に原塩を粉末精製塩としてから上の液に投入し,NaClの溶解と同時に15 ℃ 以下に冷却し,塩安を析出させる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「塩安ソーダ法」の意味・わかりやすい解説

塩安ソーダ法
えんあんそーだほう
modified solvay process

ソーダ灰(無水炭酸ナトリウム)の製造法であるアンモニアソーダ法の改変法の総称。ソーダ灰と肥料用の塩安(塩化アンモニウム)を併産し食塩の利用率をあげている。アンモニアソーダ法では重曹(炭酸水素ナトリウム)を分離したのち、母液からアンモニアを回収循環しているが、塩安ソーダ法では母液にアンモニアを吸収させて溶存している重曹の析出を抑え、ついで食塩を添加溶解させたのち冷却して塩安の溶解度を下げ、塩安を析出させる(冷却法、塩安ソーダ法の代表的な方法)。塩安ソーダ法は、アンモニア合成工業からアンモニアと副生炭酸ガスの供給を受けることによって、アンモニアソーダ法の合理化を図ったもので、日本で開発され1950年(昭和25)ごろから実施されている。

[塩川二朗]

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改訂新版 世界大百科事典 「塩安ソーダ法」の意味・わかりやすい解説

塩安ソーダ法 (えんあんソーダほう)

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の塩安ソーダ法の言及

【塩化アンモニウム】より

… 実験室ではアンモニアと塩酸とを直接反応させてつくられ,昇華によって高純度品に精製する。工業的には,日本で開発された塩安ソーダ法により炭酸ナトリウムとともに製造される。この反応式の生成系のNaHCO3分離母液から得られる。…

【炭酸ナトリウム】より

…(1)工業塩からの製造 乾式分解法と湿式分解法とがある。前者にルブラン・ソーダ法,後者にアンモニアソーダ法および塩安ソーダ法がある。アンモニアソーダ法はソルベー・ソーダ法(ソルベー法)とも呼ぶ。…

※「塩安ソーダ法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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