塩化アンモニウムの工業的通称名。苦味を帯びた辛味のある白色ないし灰白色の粉末状の小結晶で吸湿性がある。窒素を25%以上含み水に溶けやすい速効性の生理的酸性(跡地土壌が酸性となる)肥料である。土壌が酸性化すると一般に植物の生育に不利であるが、石灰施用が行き渡った今日では、以前ほど生理的酸性を警戒しなくてもよくなっている。草木灰や石灰窒素などのアルカリ性肥料と混ぜると窒素の損失がおこるので混合してはならない。無硫酸根肥料であるので老朽化水田(作土が著しい鉄不足をおこしている水田)に適する。アサやワタのような繊維作物にはとくに肥効が高く、繊維を強靭(きょうじん)にする。しかしジャガイモ、サツマイモなどのデンプン集積作物には不適で、タバコに施すと塩素含量が高くなり火付きを悪くする。
[小山雄生]
肥料用塩化アンモニウム(肥料の正称は塩化アンモニア)の略称。1941~45年,朝鮮窒素の興南工場で約2万tの塩安が生産されたが,日本で本格的生産が開始されたのは50年以降のことである。塩安は日本のソーダ工業において,ソーダ灰の安価な製造を実現するために,輸入に仰がねばならない原料塩の完全利用と,食塩中の塩素の合理的利用を図る上から発明された塩安ソーダ法と関連して生産されている。肥料用塩安は白色ないし灰白色粉末状の小結晶で,窒素25%以上を含んでいる。水に溶けやすい速効性の生理的酸性肥料である。塩安は無硫酸根肥料であるため,老朽化水田や秋落ち水田で好んで使用されるが,一般水田でも良好な肥効を有する。しかしタバコなどでは火つきが悪くなるとされ,一般に使用されていない。
→塩化アンモニウム
執筆者:熊沢 喜久雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
塩化アンモニウムの工業的略称.塩安ソーダ法により得られる.主成分はNH4Clで,N 23~25% の窒素肥料として重要である.塩化物が土壌にほどこされると石灰がCaCl2となって流出しやすくなるので,塩安は石灰とともに施肥する.肥効性は硫安と同じ.麻や綿などの繊維作物に対しては硫安よりすぐれている.[CAS 12125-02-9][別用語参照]肥料
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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