塩専売制度(読み)しおせんばいせいど

改訂新版 世界大百科事典 「塩専売制度」の意味・わかりやすい解説

塩専売制度 (しおせんばいせいど)

塩の藩専売制配給を円滑にし領民生活の安定をはかるため,藩が規制ないし独占することから出発し,後には流通機構の混乱,都市特権問屋への利益集中,藩財政の窮乏化,藩札仕法の実施などの経済的事情から施行された。

 それは(1)塩生産藩で領内専売を行う型,(2)塩生産藩で他領への移出を全部または一部独占する型,(3)塩移入藩で購入塩を専売する型に分けられる。その具体的な仕法は,(1)型の金沢藩では貸釜と塩手米制度によって生産を掌握し,他領塩の移入を厳禁し,配給ルートを藩士と村役人で組織した。(2)型の赤穂藩では生産塩の一部(上質塩)を塩問屋に大坂蔵屋敷に運送させ,蔵物として仲買に入札販売し,正貨は藩に収納,塩代金は藩札払いとした。(3)型の福井藩では三国湊で独占購入して蔵物化し,3問屋に作らせた蔵物取捌(とりさばき)会所で城下商人などに入札販売させ,領内取引には藩札を使用させた。これらが代表的な仕法であった。生産から配給まで完全に独占した藩は仙台と金沢の2藩である。塩専売施行藩と実施年代は表のとおりである。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の塩専売制度の言及

【藩政改革】より

…藩政改革の視点からこの時代を特徴づけるものは,各藩ともに財政的に行き詰まり,産物会所(国産会所)を設け,藩専売制によってこの困難な事態を打開しようとしていることである。例えば,播磨・但馬両国内に展開している大小諸藩をみても,こぞってこの時期に国産会所の設立に走っているが,ただ,産物会所を設け,専売制の実施に踏み切っても赤穂藩の塩専売制度のように,逆に1821年(文政4)には産物会所の解散に追い込まれていく場合もみられた。 そんななかで,姫路藩の木綿専売は際だった成果として喧伝されている。…

【藩専売制】より

…江戸時代に諸藩が特定商品の仕入れ,あるいは販売を独占して利益をはかる制度をいう。すでに江戸初期から実施されており,代表的なものとして加賀・仙台両藩における塩専売制の実施がある。たとえば加賀藩では,早くから能登半島で揚浜塩田による塩の生産が行われていたが,藩は塩手米との引換えで生産された塩を一手に独占し,他国塩の領内移入を禁止してこれを領内に販売していた。ほかに初期専売の例としては,会津,米沢藩の漆蠟専売制や盛岡藩における紫根専売制などがある。…

※「塩専売制度」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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