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藩専売制 はんせんばいせい

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

藩専売制
はんせんばいせい

江戸時代,諸藩の行なった特産物などの専売制度を中心とする経済政策。土佐藩の紙専売など初期から行われた場合もあるが,普通中期以降の商品経済の進展に伴い一般化し,特に幕末の藩政改革の一環として諸藩で盛んに行われた。

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百科事典マイペディアの解説

藩専売制【はんせんばいせい】

江戸時代諸藩が特定商品について領民の自由取引を禁じ購入販売を独占した政策。財政窮乏対策として採用され,特に19世紀以後国産奨励と結びついて行われた。特定商人に請け負わせ運上・冥加を徴収する間接的専売と藩権力自らが行う直接的専売とがあった。
→関連項目抜荷藩政改革

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世界大百科事典 第2版の解説

はんせんばいせい【藩専売制】

江戸時代に諸藩が特定商品の仕入れ,あるいは販売を独占して利益をはかる制度をいう。すでに江戸初期から実施されており,代表的なものとして加賀・仙台両藩における塩専売制の実施がある。たとえば加賀藩では,早くから能登半島で揚浜塩田による塩の生産が行われていたが,藩は塩手米との引換えで生産された塩を一手に独占し,他国塩の領内移入を禁止してこれを領内に販売していた。ほかに初期専売の例としては,会津,米沢藩の漆蠟専売制や盛岡藩における紫根専売制などがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

藩専売制
はんせんばいせい

藩専売制とは、江戸時代に諸藩が財政困窮を解決するための手段として、領内における特定商品、あるいは領外から移入される商品の販売を独占する制度をいう。すでに江戸初期から実施され、諸藩の財政窮乏が表面化する中期以降に多くの藩で実施されている。[吉永 昭]

商品の独占形態

藩専売制における商品買占めの形態は、領主自身が直接、特定商品の買占めにあたる直接的購買独占と、城下有力商人らと提携し、彼らに資金を与えて買占めを行わせる間接的購買独占の二つに分けることができる。なかには領主自身が特定商品の栽培または生産を行う場合もある。商品の販売にあたっては、領主が領内に一手に売りさばく領内配給独占と、独占した商品を大坂や江戸市場に送って売りさばく領外移出独占との二つに分けることができる。あるいは、両者をともに行っている例もある。多くの場合、特定商品の仕入れおよび販売にあたっては、産物方・産物会所や国産会所といった専門の役所を設置し、なかには統制の対象となる商品名をつけた紙方会所、木綿会所、砂糖会所などといった名称をもつものもある。直接的購買独占の場合、藩の役人が会所役人に任命されている例が多く、間接的購買独占の場合には、城下の有力商人や統制の対象となる商品を扱う問屋商人が会所の頭取に任命されている例が多い。また、領外移出独占の場合、大坂や江戸に出先の大坂・江戸会所を設け、同地の有力問屋商人に商品の販売を任せている例もある。領主は商品の買占めにあたって資金の準備を必要とするが、中期以降、諸藩で藩札が発行されると、藩札をもって商品を購入し、これを大坂・江戸に送って正貨を獲得する方法が実施された。このために会所と並んで藩札発行のための会所を併置した例もあり、なかには会所頭取の有力商人が札元(ふだもと)を兼ねる場合もあった。専売の対象となった商品は、全期間を通して紙がもっとも多く、続いて櫨(はぜ)および櫨蝋(はぜろう)、漆(うるし)および漆蝋、塩、藍(あい)、砂糖、繰綿(くりわた)、木綿、青莚(あおむしろ)、生糸、絹織物、煙草(たばこ)、寒天、蒟蒻(こんにゃく)、人参(にんじん)、紫根(しこん)、明礬(みょうばん)など実に多種多様であった。専売制が開始されると、専売商品の生産および流通に関係する人々は、商品の自由取引を禁止されて、領主の統制によって生活は圧迫されざるをえない。このため各地で生産者や仲買人らによる専売制反対の動きが広まった。なかには、領民の専売制反対の運動によって中止されている例もあり、実施されても長期にわたって継続されている例は、辺境雄藩の場合を除いて非常に少ない。[吉永 昭]

藩専売制の展開

専売制の具体例としては、まず初期専売の代表的なものとして、金沢藩における塩専売制の実施をあげることができる。この藩では古くから能登(のと)半島の沿岸を中心に、揚浜(あげはま)塩田による製塩が行われていたが、寛永(かんえい)(1624~44)ごろ藩は塩手米(しおてまい)との引き換えの形で製塩を独占し、これを領内各地の問屋を通して一手に売りさばいていた。また、このために瀬戸内で生産された西国塩の領内への輸入は禁止されていた。この塩専売制は初期以降、幕末までほぼ一貫して継続されている。ほかに初期専売制の例としては、仙台藩での塩専売制の実施や東北諸藩における漆蝋専売制の実施などがある。中期以降になると、諸藩は財政窮乏に苦しみ、米以外の領内商品に注目し、これの奨励を目ざして殖産興業政策を実施した。また、その商品の生産が普及すると、専売制による独占を目ざした。あるいは、すでに商品が生産されているところでは、この生産を支配する商人を排除して、それの専売制による独占と販売を目ざした。中期専売の例としては、西南諸藩における紙専売制の実施や、東北諸藩における生糸、絹織物などに対する専売制などがある。また、各藩で多種多様な商品に対する専売制が実施されている。その多くは専売商品を大坂・江戸市場に送る領外移出独占であり、なかには専売商品の移出を条件に、有力商人から資金の援助を受けている例もある。また、この領外移出独占の場合、大坂・江戸へ送られた商品は、同地の問屋商人または出先の会所役人の手によって仲間商人に入札で販売されており、一般庶民や小売への直売は禁止されていた。その意味では、専売商品の取引は既成の流通機構に組み込まれており、それと対立するものではなく、幕府もまた専売制の実施を許可していた。しかし、専売商品が増加し、それがやがて藩の意志によって大坂を排除して各消費地に直送されたり、藩相互間で交易されたりすると、大坂へ集荷する商品は減少し、これが物価騰貴の原因となった。そこで幕府は1841年(天保12)天保(てんぽう)の改革による株仲間解散令のときに、諸藩における専売制を禁止している。後期の専売制をもっとも代表するものとしては、鹿児島藩における砂糖専売制の実施がある。この藩ではすでに一時、砂糖、樟脳(しょうのう)に対する専売を実施していたが、調所広郷(ずしょひろさと)による藩政改革の一環として、1830年(天保1)大島、徳之島、喜界(きかい)島での三島砂糖惣買入(そうかいいれ)制を実施し、これを三島方御用船によって大坂に送り、同地の仲買仲間に販売して大きな収益をあげることができた。しかし、島民たちは徹底した砂糖栽培のために奴隷労働を強制されていたといわれている。[吉永 昭]
『土屋喬雄著『封建社会崩壊過程の研究』(1927・弘文堂書房) ▽堀江保蔵著『我が国近世の専売制度』(1933・日本評論社) ▽吉永昭著『近世の専売制度』(1973・吉川弘文館)』

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世界大百科事典内の藩専売制の言及

【専売】より

… 専売制度の歴史は,古代エジプトにまでさかのぼることができるともいわれているが,それが急速に発達をしたのは絶対王政のもとにおいてである。日本においても,江戸時代中期,幕府は米,箔,石灰,薬用ニンジン,銅などについて専売を実施し,また諸藩においても,会津の蠟,長州の紙,仙台の塩などについて早くから専売が行われていた(〈藩専売制〉の項参照)。しかし,これらの専売は,絶対君主や藩主が,財政収入を目的として,商人資本による流通独占に権力的に介入し,その利潤の一部を収奪するという形のもので,政府自体が資本家的経営者として独占的販売を行う近代資本主義的な専売制度とは本質的に異なっている。…

【播磨国】より

…千種川では中世以来佐用郡上月(こうづき),久崎から河口の中村(赤穂)までの高瀬舟の運航がみられ,揖保川では山崎から河口網干(あぼし)までの運航が1621年に始まっている。 木綿,塩などの商品生産が展開するにつれて,それを対象とする諸藩の統制,藩専売制が始まる。早く浅野氏赤穂藩は1680年(延宝8)藩札を発行し,領民にはその専一通用を強制して,塩販売によって領外から入る正貨はすべて藩庫に吸収した。…

【藩政改革】より


[後期――特産物の専売化と荷為替の運用]
 ここで時期区分した年代は,19世紀前半期にあたり,文化・文政・天保期(1804‐44)ということになろう。藩政改革の視点からこの時代を特徴づけるものは,各藩ともに財政的に行き詰まり,産物会所(国産会所)を設け,藩専売制によってこの困難な事態を打開しようとしていることである。例えば,播磨・但馬両国内に展開している大小諸藩をみても,こぞってこの時期に国産会所の設立に走っているが,ただ,産物会所を設け,専売制の実施に踏み切っても赤穂藩の塩専売制度のように,逆に1821年(文政4)には産物会所の解散に追い込まれていく場合もみられた。…

【姫路藩】より

…そして大坂の問屋に対抗して,木綿を江戸へと直送する行動に出た。21年(文政4)には国産会所を開設し,23年には幕府から江戸表における木綿の専売権を許され藩専売制を強化しえた。これによって藩債は早くも天保(1830‐44)初年にはほとんど償却した。…

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