塩部郷(読み)しおべごう

日本歴史地名大系 「塩部郷」の解説

塩部郷
しおべごう

現塩部一―四丁目を遺称地とする中世の郷。塩戸とも記される。文治二年(一一八六)四月八日の醍醐寺文書目録(醍醐雑事記)に「甲斐国巨摩郡塩戸庄」がみえるが、同庄とのかかわりは不明。この頃の塩部一帯の領主は塩部・小松・飯田各氏の祖となった武田有義と推定され、その後は塩部氏の本拠となったのであろう(尊卑分脈)。郷域は判然としないが、永正八年(一五一一)一一月一八日の宗長書状(尊経閣古文書纂所収飯尾文書)に「去八月甲斐国塩部と申候、湯治仕候」とあり、連歌師宗長が当地で湯治していることから、有義開基の法輪ほうりん寺が所在する穴切あなぎり地区辺りから、温泉の湧出で知られる村周辺までが郷内と推定される。また「武田家日坏帳」には、元亀二年(一五七一)一一月二〇日に逆修供養を行った対馬守とその内方の居住地として「甲州シホヘノ郡十日市場」が記載されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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