壷菫(読み)つぼすみれ

精選版 日本国語大辞典 「壷菫」の意味・読み・例文・類語

つぼ‐すみれ【壺菫・坪菫・菫菜】

  1. 〘 名詞 〙 ( 上代は「つほすみれ」。後世は「つぼずみれ」とも )
  2. スミレ科の多年草「たちつぼすみれ(立壺菫)」のこと。《 季語・春 》
    1. [初出の実例]「山吹の咲きたる野辺の都保須美礼(ツホスミレ)この春の雨に盛りなりけり」(出典:万葉集(8C後)八・一四四四)
    2. 「いれこかや坪のうち成壺すみれ〈貞徳〉」(出典:俳諧・山の井(1648)春)
  3. スミレ科の多年草。各地のやや湿った山野に生える。根茎は短く、地上茎は高さ一〇~二〇センチメートルで、斜上するか這う。根出葉には長柄があり、葉身はほぼ腎臓状円形。茎葉には毛がなく、卵状心臓形で縁に低鋸歯がある。托葉は長楕円形で小さく一対ある。春、葉腋から長柄を出し、袋状の短い距(きょ)をもち、白地に紫色の筋のはいった花が咲く。果実は蒴果で長楕円形、毛がない。漢名、菫菜。如意草は近縁の中国産のもの。こまのつめ。にょいすみれ。〔日本植物名彙(1884)〕
  4. (かさね)の色目の名。表は紫、裏は薄青。春に着用する。〔胡曹抄(1480頃)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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