…【波部 忠重】
[民俗]
サザエは古来潜水漁の漁獲対象とされてアワビとともに宮廷に,また伊勢神宮への贄(にえ)として供えられた。日本の巻貝としてもっともよく知られ,貝のまま火に焼いた壺焼きは古くからの海浜居住者の食物であった。巻貝としては右巻きのものが一般的であるが,左巻きのサザエもあり,《鎌倉巡覧記》に見える源頼朝が舟遊びのときに左巻きにしたサザエをまいたので,鎌倉産のサザエは皆左巻きになったという伝説は,それがまれなものであるということを説明するものであった。…
※「壺焼き」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」