日本大百科全書(ニッポニカ) 「夏の霜」の意味・わかりやすい解説 夏の霜なつのしも 名古屋市亀末広(かめすえひろ)の季節菓子で、6月から9月までしかつくられない。丹波大納言小豆(たんばだいなごんあずき)の漉し餡(こしあん)を挟んで、天と地にみじん粉と和三盆を原料とした軟落雁(らくがん)を分厚く置いた菓子である。創作したのは亀末広初代の吉田太一郎。藤堂藩の御用商人であったが、明治維新後に京都の亀末広で修業、1896年(明治29)に名古屋でのれんを掲げ、夏の霜を世に出した。菓名は、白居易の詩を引いた謡曲『経政(つねまさ)』の、「風枯木を吹けば晴天の雨 月平沙を照らせば夏の夜の 霜の起居も安からで……」からつけられたという。[沢 史生] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例