改訂新版 世界大百科事典 「夏家店遺跡」の意味・わかりやすい解説
夏家店遺跡 (かかてんいせき)
Xià jiā diàn yí zhǐ
中国内モンゴル(蒙古)自治区赤峰市の東約15kmにある青銅器時代の遺跡。1960年中国科学院考古研究所が調査し,旧熱河省南部の青銅器時代文化の編年が修正された。文化層は上下2層に分かれ,下層から石器,骨器,土器,銅滓などが出ている。土器は灰陶が主で,鬲(れき)や甗(げん)などの器形が目立つ。土器の様相は二里頭遺跡の殷文化に似るが,中原の竜山文化の一変種である。上層から竪穴住居址,墓葬,貯蔵穴などが発見されている。土器は褐色と紅色の夾砂陶で,鬲,甗,缶,豆,鉢などがある。墓には石棺墓と周囲に礫を置く木棺墓があり,土器,骨器や銅釦(どうこう)(ボタン),連珠状銅飾などの青銅器を副葬している。下層文化は殷代並行で,河北省北部,北京・天津地区,遼寧省西部,吉林省南西部に分布し,彩色土器や卜骨が発見されている。上層文化は西周・春秋時代相当で遅くは戦国時代にまで下る。上層と下層の間に明瞭な連続性はなく,別系統とされるが,南の天津などでは多少の継承性が認められる。
執筆者:横田 禎昭
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