多数決原理(読み)たすうけつげんり(英語表記)majority rule

翻訳|majority rule

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「多数決原理」の意味・わかりやすい解説

多数決原理
たすうけつげんり
majority rule

集団でものを決めるときの決定ルールの一つで構成員の過半数意見を集団の意思とする方法である。多数決原理は代表と並んで民主主義構成原理である。多数といっても2分の1プラス1の単純多数決および3分の2や4分の3といった条件をつける特別多数決もある。多数決原理の正当性根拠の一つとして,多数決では支持した提案が否決される可能性と反対した提案が可決される可能性の合計が最も低いということがあげられる。多数決の問題点としては少数者の意見が看過され多数者の専制に陥る危険性が指摘される。

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世界大百科事典(旧版)内の多数決原理の言及

【寛容】より

…すなわち,市民革命を経過して確立された近代議会主義においては,国民のある程度の同質性を前提としながら,各個人の思想や信条は絶対的な真理を体現するものではありえないのであるから,討論によって相手の意見を知り,妥協点を見いだしていくべきであり,それでも意見の一致が得られない場合には,多数決によって相対的にはより客観的な結論を見いだすことが好ましいと考えられるようになったのである。このような多数決原理は,自明の前提として討論の自由,少数者の保護,政治的反対の保障などを含むものであり,議会制によって政治的寛容の原理は制度化され,個人の自由が保障されるようになったといえよう。しかし,19世紀の後半以降になると,工業化と都市化とにともなって,階級対立の激化,利害の多元化と分極化,さらには大衆社会化の進行などがもたらされ,ひいては議会制の前提となっていた国民の同質性もしだいに失われるようになった。…

※「多数決原理」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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