日本大百科全書(ニッポニカ) 「多葉機」の意味・わかりやすい解説
多葉機
たようき
multiplane
揚力を発生させる翼(主翼)を三枚以上、上下に適当な間隔をおいて重ねて取り付けた飛行機。揚力の理論が解明されない初期には、翼の単位面積当りに生ずる揚力が少ないことと、構造や材料が発達していなかったため、大型機では三枚以上の翼を必要とした。また小型機では機体を小さくして運動性を高めるために、第一次世界大戦ごろには三葉機が用いられた。多葉機といっても普通は三枚の翼を上下に重ねるが、まれには四枚を重ねたものもあり、また三枚の翼を三か所に取り付け計九枚の翼を備えた大型機(1921年、カプロニCa60、イタリア)もあった。現在では翼理論や構造が発達したため、用いられていない。飛行機の発達の一過程にあった形式である。
[落合一夫]
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