夜御殿(読み)よんのおとど

精選版 日本国語大辞典 「夜御殿」の意味・読み・例文・類語

よん‐の‐おとど【夜御殿】

  1. 〘 連語 〙 「よる(夜)の御殿」の変化した語。
    1. [初出の実例]「夜(ヨン)のをとどに入せ給ても、露まどろませ給はず」(出典太平記(14C後)四)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「夜御殿」の意味・わかりやすい解説

夜御殿
よるのおとど

「よんのおとど」とも読む。天皇・貴族などの寝所。夜御座(よるのおまし)ともいう。平安宮内裏(だいり)の清涼殿(せいりょうでん)では、母屋(もや)の北寄りの二間四方の塗籠(ぬりごめ)(壁で塗り込め戸をつけた部屋)があてられた。四方に妻戸があり、南は昼御座(ひのおまし)、北は萩(はぎ)の戸(と)・藤壺上御局(ふじつぼのうえのみつぼね)、東は二間(ふたま)、西は朝餉(あさがれい)に接する。中には灯楼(とうろう)をかけ、東枕(ひがしまくら)に帳台(ちょうだい)を立てた。枕の上方剣璽(けんじ)のための二階棚を置き、帳台のわきには女房の座となる畳を敷いた。

[吉田早苗]

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世界大百科事典(旧版)内の夜御殿の言及

【住居】より

…東三条殿は貴族住居では最大規模のものであるが,寝殿などの構成原理は他の貴族住居に共通していたものと考えられる。なお,寝所は天皇の寝所である清涼殿の夜御殿(よるのおとど∥よんのおとど)が塗籠であるところから,平安時代初期ころまでは塗籠が寝所として使われていたようであるが,平安時代後期になると塗籠は貴重品を入れておく物置になり,寝具として帳台を部屋に置くようになる。また,平安時代末期には小部屋の床を一段高くし,入口の端に方立(ほうだて)を立て,帳を垂らした作り付けの帳台が見られるようになる(《伴大納言絵詞》)。…

【清涼殿】より

…西側に四季の屛風を立て,中央に円座を敷き,毎朝天皇がここで伊勢神宮や内侍所(ないしどころ)を遥拝する。昼御座の北2間四方が〈夜御殿(よるのおとど)〉で,身舎と妻戸で通じている。天皇の寝室で,御帳が置かれ,東枕である。…

【塗籠】より

…平安時代の寝殿造では主屋の一部に壁で囲った部屋が設けられていた。これは塗込(ぬりごめ)と呼ばれ,内裏の清涼殿で天皇が用いるものは夜御殿(よるのおとど)といわれた。しかし,その実際の形式・構造はわかっていない。…

【住居】より

…東三条殿は貴族住居では最大規模のものであるが,寝殿などの構成原理は他の貴族住居に共通していたものと考えられる。なお,寝所は天皇の寝所である清涼殿の夜御殿(よるのおとど∥よんのおとど)が塗籠であるところから,平安時代初期ころまでは塗籠が寝所として使われていたようであるが,平安時代後期になると塗籠は貴重品を入れておく物置になり,寝具として帳台を部屋に置くようになる。また,平安時代末期には小部屋の床を一段高くし,入口の端に方立(ほうだて)を立て,帳を垂らした作り付けの帳台が見られるようになる(《伴大納言絵詞》)。…

※「夜御殿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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