朝餉(読み)アサガレイ

デジタル大辞泉 「朝餉」の意味・読み・例文・類語

あさ‐がれい〔‐がれひ〕【朝×餉】

天皇日常食事。儀式的な大床子だいしょうじ御膳おものに対していう。朝夕2回あった。朝餉の御膳おもの
「―の気色ばかり触れさせ給ひて」〈桐壺
朝餉の」の略。

あさ‐げ【朝×餉/朝食】

《古くは「あさけ」》朝の食事。あさめし。
[類語]朝食朝御飯朝飯あさめし朝飯あさはん

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精選版 日本国語大辞典 「朝餉」の意味・読み・例文・類語

あさ‐がれい‥がれひ【朝餉】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 天皇が召し上がる簡単な食事。儀式的な大床子(だいしょうじ)御膳(おもの)に対するうちうちの食事。朝餉の御膳。
    1. [初出の実例]「五節所女房許、朝臣夕食令弁済遣之、朝餉淡路守文佐、衝重属宮忠信」(出典:小右記‐長保元年(999)一一月二三日)
    2. 「ものなどもきこしめさず、あさがれひのけしきばかり触れさせ給て」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
  3. あさがれい(朝餉)の間(ま)」の略。
    1. [初出の実例]「あさがれいの御障子をあけて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)絵合)
  4. 朝食のこと。
    1. [初出の実例]「それ朝餉(アサガレヒ)の竈を跡に見て跡を追ひに出る庖廚(くりや)の炊婢(みづしめ)」(出典武蔵野(1887)〈山田美妙〉下)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「朝餉」の意味・わかりやすい解説

朝餉
あさがれい

朝餉の御膳(おもの)、すなわち天皇が朝餉間で摂(と)る内々の食事の意で、『禁秘抄(きんぴしょう)』があげる天皇の御膳四種(大床子(だいしょうじ)御膳、朝餉御膳、只御膳(ただのおもの)、小供御(こくご))の一つであるが、また朝餉間のことをさす場合も多い。餉(かれい)とは諸説あるが、おそらく乾飯(かれいい)の義で、ときに朝干飯とも記される。時刻は朝夕2回とされるが、『寛平御遺誡(かんぴょうのごゆいかい)』の巳刻(みのこく)、申(さる)刻、『侍中(じちゅう)群要』の午(うま)一刻、酉(とり)一刻、『建武日中行事』の午刻、申刻など諸説一定しない。ここから朝餉の朝は朝廷の意とする説もあるがつまびらかでない。

 朝餉御膳は、内膳司(ないぜんし)や御厨子所(みずしどころ)が調進したものを女官が取り次ぎ、上﨟(じょうろう)の女房が奉仕した。内容、種類は場合によって異なるが、詳細は『厨事類記(ちゅうじるいき)』にみえる。『禁秘抄』のころには朝夕二度を一度に供じ、しかも実際の着御はなかったようである。朝餉間は清涼殿西廂(にしびさし)の一区画で2間を占める。西廂には南から鬼間(おにのま)、台盤所(だいばんどころ)、大和絵(やまとえ)の障子を隔てて朝餉間、猫の絵の障子を隔てて御手水間(おちょうずのま)、御湯殿上と並び、朝餉間の東に接する母屋(もや)の第六、七間は夜御殿(よるのおとど)、西側は簀子(すのこ)を隔てて朝餉壺(つぼ)とよばれる中庭があった。室内には二階厨子、冠筥(かんむりばこ)、唾壺(だこ)、大床子などの調度が置かれ、食事以外にも、天皇のごく内々の使途にあてられた。

[杉本一樹]

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普及版 字通 「朝餉」の読み・字形・画数・意味

【朝餉】ちようしよう

朝食。

字通「朝」の項目を見る

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