朝餉の御膳(おもの)、すなわち天皇が朝餉間で摂(と)る内々の食事の意で、『禁秘抄(きんぴしょう)』があげる天皇の御膳四種(大床子(だいしょうじ)御膳、朝餉御膳、只御膳(ただのおもの)、小供御(こくご))の一つであるが、また朝餉間のことをさす場合も多い。餉(かれい)とは諸説あるが、おそらく乾飯(かれいい)の義で、ときに朝干飯とも記される。時刻は朝夕2回とされるが、『寛平御遺誡(かんぴょうのごゆいかい)』の巳刻(みのこく)、申(さる)刻、『侍中(じちゅう)群要』の午(うま)一刻、酉(とり)一刻、『建武日中行事』の午刻、申刻など諸説一定しない。ここから朝餉の朝は朝廷の意とする説もあるがつまびらかでない。
朝餉御膳は、内膳司(ないぜんし)や御厨子所(みずしどころ)が調進したものを女官が取り次ぎ、上﨟(じょうろう)の女房が奉仕した。内容、種類は場合によって異なるが、詳細は『厨事類記(ちゅうじるいき)』にみえる。『禁秘抄』のころには朝夕二度を一度に供じ、しかも実際の着御はなかったようである。朝餉間は清涼殿西廂(にしびさし)の一区画で2間を占める。西廂には南から鬼間(おにのま)、台盤所(だいばんどころ)、大和絵(やまとえ)の障子を隔てて朝餉間、猫の絵の障子を隔てて御手水間(おちょうずのま)、御湯殿上と並び、朝餉間の東に接する母屋(もや)の第六、七間は夜御殿(よるのおとど)、西側は簀子(すのこ)を隔てて朝餉壺(つぼ)とよばれる中庭があった。室内には二階厨子、冠筥(かんむりばこ)、唾壺(だこ)、大床子などの調度が置かれ、食事以外にも、天皇のごく内々の使途にあてられた。
[杉本一樹]
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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