日本大百科全書(ニッポニカ) 「夜行性動物」の意味・わかりやすい解説
夜行性動物
やこうせいどうぶつ
主として夜間に摂食や生殖などの行動を行い、昼間は休息する動物。昼行性動物に対する語。日没から夜明けまで一晩中活動するもの、日没後と夜明け前の2回の活動ピークをもつもの、日没後のみ活動するものなどさまざまである。夜間の視力が増大したり、嗅覚(きゅうかく)が発達するなど、暗闇(くらやみ)で生活するのに適した機能を備え、光を避けて行動する性質が強い。夜間、昆虫が光に集まるのは、人工光を月と間違えて定位飛翔(ひしょう)し光源に近づくためという説もある。フクロウ、コウモリ、メガネザルなどの夜行性の高等動物では、網膜には弱い光に感じ明暗の識別のみできる視細胞しかない。コウモリは超音波を用いて餌(えさ)や障害物の探知を行いながら夜間飛翔をする。夜行性のホタルは発達した発光器をもち、種特有の発光パターンで雌雄の交信を行う。この仲間では複眼が大きく、触角は昼行性のホタルより単純である。ゲームアニマルとして扱われるウサギなどでは、昼間は発砲されたり追い回されるために、完全な夜行性になる傾向があるという。
[遊磨正秀]