(読み)おびただしい

精選版 日本国語大辞典 「夥」の意味・読み・例文・類語

おびただし・い【夥】

〘形口〙 おびたたし 〘形シク程度数量が度をこえてはなはだしいさまを表わす。
[一] 物事の程度がはなはだしい。ものすごい。
① 非常に盛んである。にぎやかに繁昌している。立派である。
※宇津保(970‐999頃)吹上下「乱声(らんじゃう)・鼓・物のね一度(ひとたび)うち吹き、弾き合はせたり。をびたたしくめでたし」
※宇治拾遺(1221頃)一三「あまたに売りえて、おびたたしき徳人になりぬれば」
② (建物などの)規模が大きい。たいへん大がかりで、ものものしい。
平家(13C前)五「あまりに内裏のおびたたしきを見て、秦舞陽(しんぷやう)わなわなとふるひければ」
物音や声が激しい。騒がしい。にぎやかだ。
※大鏡(12C前)四「はと一度に笑ひし声こそ、いとおびたたしかりしか」
今昔(1120頃か)二七「俄(にはか)に児(ちご)の愕(おび)たたしく泣けるに」
④ 勢いが激しくて、恐ろしいほどである。
※金刀比羅本保元(1220頃か)中「あなおそろしの鎮西の八郎殿の弓勢(ゆんぜい)や〈略〉いかなる鎧(よろひ)を着て此の門へはむかひ候はむずるぞ。あなおびたたし」
⑤ (一般に)程度が普通でない。(病気苦痛などの程度が)ひどい。
※栂尾明恵上人伝記(1232‐50頃)上「其の苦痛夥しく見えき」
⑥ 大げさすぎる。はなはだしすぎてよくない。
讚岐典侍(1108頃)上「あさり護摩(ごま)こそおびたたしく侍(さぶ)らへ」
[二] 数量が非常に多い。
※平家(13C前)五「奈良の大衆おびたたしく蜂起す」
おびただし‐げ
〘形動〙
おびただし‐さ
〘名〙

おびたたし【夥】

〘形シク〙 ⇒おびただしい(夥)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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