大宋宣和遺事(読み)だいそうせんないじ(その他表記)Da-song xuan-he yi-shi

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大宋宣和遺事」の意味・わかりやすい解説

大宋宣和遺事
だいそうせんないじ
Da-song xuan-he yi-shi

中国の歴史小説。2巻。宋代の歴史講談台本をまとめたもので,元代に出版された。まず上古から唐までの興亡を述べ,次いで宋の太祖から哲宗までの7世の出来事を略述し,最後に徽宗皇帝の治世下,奸臣がはびこり忠臣が遠ざけられ,皇帝自身も風流栄耀にふけるさまが描かれている。特に治世の終り宣和年間 (1119~25) の記述が詳しく,本書書名はそれによっている。そのうち宋江ら 36人の賊が朝廷に反抗して梁山泊にたてこもる一節は,『宋史』にも記載された史実が講談のなかで伝説化され潤色されて,のちの施耐庵の傑作『水滸伝』に結晶する過程を示すものとして貴重。

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