大島城(読み)おおしまじょう

日本の城がわかる事典 「大島城」の解説

おおしまじょう【大島城】

長野県下伊那郡松川町にあった平山城(ひらやまじろ)。天竜川のつくる河岸段丘上に築かれた城である。平安時代末期に船山城(同町)の片切(片桐)為行の第8子の八郎宗綱が分知されて大島郡を領し、この城を築いて大島氏を名乗ったといわれる。一帯を領有した武田信玄は1571年(元亀2)、家臣の秋山信友に命じて同城を大改修した。以降、伊奈谷南部統治の拠点に、また、信玄遠江三河美濃へ侵攻した際の兵站基地となった。武田氏の最後の城主を信玄の弟の武田信廉(逍遥軒信鋼)がつとめている。1582年(天正10)、織田信長嫡男の信忠が信濃に侵攻すると信濃の国人衆は動揺して戦意を喪失したため、信廉は戦うことなく同城を放棄して甲斐へ退却したことから自落した。城跡は現在、台城公園として整備されて、本丸・二の丸・三の丸各郭の土塁、空堀などが保存されているほか、本丸と二の丸の間の堀切跡北側には井戸跡も残っている。JR飯田線山吹駅から徒歩約15分。◇台城とも呼ばれる。

出典 講談社日本の城がわかる事典について 情報

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