朝日日本歴史人物事典 「大森宗勲」の解説
大森宗勲
生年:元亀1(1570)
安土桃山・江戸初期の一節切尺八中興の祖。岫庵と号する。楠木正成の首を討った伊予(愛媛県)の武将大森彦七の後裔。織田信長に仕えたが,信長没後は隠棲し,一節切尺八の研究に専念した。楽器の製作にも秀で,後陽成天皇の命により5本の銘管を製作,献上した。そのうちの1本が,「霊音」銘のある旧紀州徳川家蔵のものであるといわれている。また,名演奏ぶりを物語る逸話も多く残る。宗勲の著『宗左流尺八手数并唱歌目録』(「短笛秘伝譜」写本)には慶長13(1680)年の奥書があり,年記のあるものとしては最古の現存する一節切譜である。これにより,一節切尺八を一般人に広めた功績は,大きく評価されている。
(志村哲)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報