北方七年戦争(読み)ほっぽうしちねんせんそう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「北方七年戦争」の意味・わかりやすい解説

北方七年戦争
ほっぽうしちねんせんそう

1563~1570年、スウェーデンデンマークとの間で行われた戦争。スウェーデンのバルト海東部への急速な進出を警戒したデンマーク国王フレゼリク2世Frederik Ⅱ(1534―1588、在位1559~1588)は、ポーランドおよびリューベックと結び、1563年スウェーデン西岸の港湾エルブスボリを占領し、さらにリューベック海軍とともにスウェーデンを海上封鎖した。これに対しスウェーデン軍は、1564年以後デンマーク領ハランド、スコーネなどを攻撃したが、陸上では概してデンマーク軍が優勢で、1567~1568年には東イョータランドにまで侵攻している。一方海上ではスウェーデン軍が優勢で、しばしば封鎖艦隊を撃破した。この間両国内政は深刻な危機にみまわれ、スウェーデンでは1568年エーリク14世Erik ⅩⅣ(1533―1577、在位1560~1568)が廃位され、弟ヨハン(ヨハン3世Johan Ⅲ。1537―1592、在位1568~1592)が王位についた。デンマークでも、1570年にはフレゼリク2世に対する反対運動が頻発するに至った。1570年12月両国はシュチェチンにおいて、領土の不変更を骨子とする講和条約を結んだ。この戦争による両国の境界地帯の荒廃は甚だしく、双方国民感情に著しい悪影響を与えることとなった。

[本間晴樹 2022年6月22日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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