大津大浦(読み)おおつのおおうら

朝日日本歴史人物事典 「大津大浦」の解説

大津大浦

没年:宝亀6.5.17(775.6.19)
生年:生年不詳
奈良後期の陰陽家代々の陰陽家の出身で,藤原仲麻呂信任を得て吉凶を占っていたが,仲麻呂の謀反計画を知り,累のおよぶことを恐れて密告した。天平宝字8(764)年の仲麻呂の変後,一躍正七位上から従四位上を授けられ,姓を宿禰改め,左兵衛佐兼美作守に任ぜられた。翌天平神護1(765)年3月には和気王と共に功田を賜ったが,同年8月には和気王の謀反に連座して,日向守に左遷のうえ位封を奪われ,姓はもとの連に戻された。さらに神護景雲1(767)年には現職を解任され,所持する天文陰陽などの書を官に没収された。ところが道鏡失脚ののち,宝亀1(770)年に罪を許されて帰京し,翌年には陰陽頭,同5年には安芸守を兼ねた。翌6年現職のまま,自らの持つ技術の故,奈良時代後期の政争のなかで波乱の生涯を閉じた。<参考文献>宮崎健司「大津連首について」(『尋源』40号)

(脊古真哉)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「大津大浦」の意味・わかりやすい解説

大津大浦 (おおつのおおうら)
生没年:?-775(宝亀6)

奈良時代の陰陽家。大津氏は連(むらじ)姓で,代々陰陽を習い伝える。大浦は藤原仲麻呂の信任をえて吉凶を占ったが,仲麻呂の叛意を知るとこれを密告。その功により位は正七位上から従四位上,姓も宿禰(すくね)となり,功田15町が与えられた。しかし道鏡政権下で舎人親王の孫和気王の謀反事件に連座し,再び連姓となり,日向守に左遷。道鏡失脚後ゆるされて陰陽頭兼安芸守となった。
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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「大津大浦」の解説

大津大浦 おおつの-おおうら

?-775 奈良時代の陰陽師(おんようじ)。
天平宝字(てんぴょうほうじ)8年(764)藤原仲麻呂の挙兵を密告して,正七位上より従四位上にのぼったが,天平神護(じんご)元年和気王(わけおう)の謀反に連座して位封(いふ)をうばわれ左遷,神護景雲元年天文陰陽の書も没収された。のちゆるされて復位,陰陽頭(かみ)兼安芸守(あきのかみ)となる。宝亀(ほうき)6年5月17日死去。

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