古代中国の諸学派「九流」の一つ。またその学派の思想家。『史記(しき)』の「大史公自序」では、陰陽家を儒家、墨家(ぼくか)などの諸家の首(はじめ)にあげ、その特色を「密(ひそ)かに陰陽の術を観察したことがあったが、頗(すこ)ぶる詳細で色々の禁忌(きんき)すべきことがあり、人をこだわらせ、畏(おそ)れさすことが多いが、四季の順序を秩序づけるところは捨てることができない」といっている。『漢書(かんじょ)』の「芸文志(げいもんし)」諸子略の陰陽部には「鄒子(すうし)(衍(えん))四九篇(へん)、鄒子終始五六篇、鄒奭子(すうせきし)一二篇」など、21家369篇が記載され、そのほか兵家(へいか)略に陰陽16家349篇、数術略に五行31家652巻があり、漢代における陰陽家の隆盛を示しているが、『隋書(ずいしょ)』の「経籍志(けいせきし)」以後になると陰陽家の部はなく「五行」の部に包括されてしまった。この説は、日本にはつとに伝来し、大宝令(たいほうりょう)の陰陽寮(おんみょうりょう)には陰陽師(おんみょうじ)、陰陽博士(おんみょうはかせ)が置かれ、陰陽、五行(ごぎょう)、天文、暦などのことをつかさどった。これが、平安朝以後は陰陽道(おんみょうどう)として発展した。
[中村璋八]
中国,古代の諸子百家の一つ。陰陽五行説を応用する思想集団として,前漢前期の司馬談の〈六家之要指〉では6学派の首位にたち,時代思潮を代表した天文暦数をあつかう学団で,自然哲学の時令思想を奉じていた。自然界の秩序を暦法として制度化し,統治権者の天子が年時ごとに発布する教令を通じて天下の社会生活を統御する。農事暦がそれにあたる。時令には鄒衍(すうえん)以来の五行説が融合し,四季の変遷と年間の政事が五徳終始の循環原理によって組み合わされ,自然と人事が円環的な終復運動によって調節されるとする〈陰陽消息(自然運行の法則)〉に随順する則天主義を原理とした。その政治思想への展開は,前漢後期の董仲舒(とうちゆうじよ)系の災異説にみられる。
執筆者:戸川 芳郎
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…老子や荘子の考えは,道を根本として構成されるので,道家とよぶ。このほか論理学を説く名家,陰陽論を説く陰陽家,上述の蘇秦・張儀のごとく外交術を説く縦横家,農業技術や農民思想を説く農家など多くの流派の思想家が活躍し,互いに影響しあい,中国史上最も自由に思想が説かれた時代であり,これらを諸子百家と総称するが,後世に大きな影響を与えたのは儒家と道家であり,法家は思想として表面にあらわれなかったが,儒家の徳をたてまえとする政治を支える技術としてつねに利用された。 このように多様な思想が自由に展開したのは,人間精神の躍動を示すものであり,これは芸術にもあらわれた。…
※「陰陽家」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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