朝日日本歴史人物事典 「大畠文治右衛門」の解説
大畠文治右衛門(初代)
宝暦(1751~64)ごろから文政年間(1818~30)まで長崎勝山町で営業した長崎版画の板元,豊嶋屋の初代。豊嶋屋は天明初年ごろ代が替わり,富嶋屋と改号。4代まで続いたらしいが,優れた作品の多くが初代の時期に板行された。実測図に近く,以後の長崎地図の原型となる『肥州長崎之図』(1764)などの地図類や,鳥瞰図の手法を用いたオランダ・唐人屋敷図,オランダ船などオランダ関係を中心とした一枚絵を板行。長崎版画のあらゆる画題に先鞭をつけた。なお,2代伝吉が板行した『阿蘭陀船図説』は林子平の委託によるものという。<参考文献>樋口弘『長崎浮世絵』
(安永美恵)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報