大菩提会(読み)だいぼだいかい

改訂新版 世界大百科事典 「大菩提会」の意味・わかりやすい解説

大菩提会 (だいぼだいかい)

スリランカセイロン)のダルマパーラにより創立された仏教団体。1815年,イギリスはキャンディにあった最後のシンハラ王朝を滅ぼし,スリランカ全土を手中におさめた。以後仏教国スリランカは半世紀以上にわたって,キリスト教徒でなければ就職も出世もできない時代が続いた。しかし73年,仏教とキリスト教の間で行われた有名な〈パーナドゥラ論争〉で仏教側が勝利をおさめたことから,スリランカ仏教は蘇生した。この事件を10歳のときに見たダルマパーラAnagarīka Dharmapāla(1864-1933)は仏教の復興と普及のために〈大菩提会(マハーボーディ・ソサエティMahābodhi Society)〉を設立した。その本部は,仏教の開祖釈迦が悟りを開いたインドブッダガヤーボードガヤー)に置かれた。現在では,その支部はコルカタ(旧カルカッタ)などのインドの諸都市,またスリランカ,イギリスなどの諸外国にも設置され,南方仏教の伝道普及のためのセンターとなっている。なお,創始者ダルマパーラは数回来日し,1893年シカゴで開かれた世界宗教者会議には南方仏教の代表者として参加している。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大菩提会」の意味・わかりやすい解説

大菩提会
だいぼだいかい
The Mahābodhi Society

インドで仏教復興運動を行なっている団体。セイロン人ダルマパーラが 1890年に釈尊成道の地ブッダガヤーに設立した。カースト廃止運動と結びついて次第に勢力を伸ばしている。信徒の数はそれほど多くはないが,一般インド人は仏教がヒンドゥー教の一分派であると考えているので,インド政府も大きな催しには公に後援している。

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