日本大百科全書(ニッポニカ) 「キャンディ」の意味・わかりやすい解説
キャンディ
きゃんでぃ
Kandy
スリランカ中部にあるセントラル州の州都。コロンボの東北東96キロメートル、内陸部の標高500~900メートルの中央山地に位置し、マハベリ川に臨む。人口11万0049(2001)。観光都市として知られる。敵からの防御に好適な立地条件と、熱帯としては気候に恵まれるため、1815年イギリスに支配されるまでシンハラ王朝の首都として栄えた。人工湖のキャンディ湖を中心に、旧市街はほぼ方形に14のブロックからなり、周辺の丘陵地帯には住宅が広がる。湖の北岸にあるダラダ・マリガワ寺(仏歯寺)は釈尊の歯を納めた寺で、毎年8月に10日間にわたって行われるペラヘラ祭は、美しく飾られた象の行列が市内を巡行し、内外の観光客を集める。また市の南方6キロメートルのペラデニヤPeradeniyaには、スリランカ最大の大学ペラデニヤ大学や、60万平方メートルの広さをもつ熱帯植物園がある。付近にはバティック、木彫り、銅銀細工などの小工場が多い。1988年に「聖地キャンディ」として世界遺産の文化遺産に登録されている(世界文化遺産)。
[吉野正敏]