朝日日本歴史人物事典 「大蔵善行」の解説
大蔵善行
生年:天長9(832)
平安前期の学儒。都良香に学才を賞された人物で,清和天皇の命を受け貞観17(875)年10月から翌年7月まで蔵人所に勤めて蔵書を校定する一方,天皇近侍の人々に『顔氏家訓』を講義。のち存問渤海使,大外記として活躍,この間藤原基経,時平,忠平はじめ教授を受けた者は数多く,延喜1(901)年9月,門人代表として時平主催による70の算賀が「城南小石亭」で盛大に行われている。同8年に致仕したが,86歳で毎朝,皇太子保明親王に『漢書』を講義し,87歳で男子を生ませ,90歳でも肉体的な衰えはなかったことから「地仙」と称されたというが,言いえて妙。『三代実録』『延喜格』『延喜式』の編纂にも携わった。
(瀧浪貞子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報