天津久米命(読み)あまつくめのみこと

朝日日本歴史人物事典「天津久米命」の解説

天津久米命

久米部を率いた久米氏の伝説上の先祖神。久米部は大和朝廷に従属した軍事集団。『古事記』『日本書紀』によると,天皇家の先祖神が天降りしたとき,同じく武の家柄である大伴氏の先祖神天忍日命と共にその先導を務めたとされる。背に靭を負い,腰に頭槌の剣,腕に鞆をつけ,弓を持ち矢を手挟み,さらに鳴鏑の矢を持ちそえるといういでたちで天上界(高天原)から降りてきた。大和朝廷内における久米氏の役割を象徴する人物である。なおこの場面における『古事』と『日本書』の差をもとに,久米氏と大伴氏の関係(対等か否かなど)をめぐって古く本居宣長に始まる論争がある。<参考文献>直木孝次郎『日本古代の氏族と天皇』

(溝口睦子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus「天津久米命」の解説

天津久米命 あまつくめのみこと

記・紀にみえる神。
久米氏の祖先神。邇邇芸命(瓊瓊杵尊)(ににぎのみこと)が降臨するとき,大伴氏の祖先神の天忍日命(あめのおしひのみこと)とともに先導をしたといわれる。「日本書紀」では天槵津大来目(あめのくしつのおおくめ)といい,天忍日命の従属神としているが,「古事記」では対等の神と位置づけられている。

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精選版 日本国語大辞典「天津久米命」の解説

あまつくめ‐の‐みこと【天津久米命】

記紀に見える神。久米直(くめのあたい)等の祖神。天孫降臨に随伴し、天忍日命(あまのおしひのみこと)とともに武具を携え、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)の前に立った。天槵津大来目(あめくしつのおおくめ)

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世界大百科事典内の天津久米命の言及

【大久米命】より

…《古事記》の神武天皇条に久米氏の先祖としてあらわれる人物。《日本書紀》の同条では〈大来目(おおくめ)〉とあり,記紀の天孫降臨条にはそれぞれ〈天津久米命(あまつくめのみこと)〉〈天槵津大来目(あめくしつおおくめ)〉となっている。いずれも天孫ないし天皇の警護,戦闘に従事したとされており,これは久米部(くめべ)なる部民の職掌にもとづくものであろう。…

※「天津久米命」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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