天忍日命(読み)アマノオシヒノミコト

デジタル大辞泉 「天忍日命」の意味・読み・例文・類語

あまのおしひ‐の‐みこと【天忍日命】

日本神話の神。天孫降臨に際し、天津久米命あまつくめのみこととともに先駆けを務めた。大伴氏の祖神

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精選版 日本国語大辞典 「天忍日命」の意味・読み・例文・類語

あまのおしひ‐の‐みこと【天忍日命】

  1. 記紀などに見える神。高天原武神大和朝廷軍事を担当した大伴氏の祖神。天孫降臨の時、天津久米命(あまつくめのみこと)とともに弓、矢、剣を携えて瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)先導した。

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朝日日本歴史人物事典 「天忍日命」の解説

天忍日命

大伴氏の伝説上の先祖神。忍は押とも書き「威力ある」の意。『古事記』『日本書紀』によると,天皇家の先祖神が天降りしたとき,久米氏の先祖神天津久米命と共に,武装して先導を務めたとされる。天皇のそばを片時も離れず,一身を賭して守り抜くという,皇室藩屏としての大伴氏の役割を象徴する神である。このような大伴氏の伝統について,聖武天皇は詔勅(『続日本紀』巻17)で称え,大伴家持自身も『万葉集』で誇り高く歌っている。『日本書紀』によると,孝徳天皇即位(645)の際,大伴長徳は犬上建部君と共に,金の靭を負って壇の左右を固めているが,これは神話における天忍日命の再現とみることができる。

(溝口睦子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「天忍日命」の解説

天忍日命 あめのおしひのみこと

記・紀にみえる神。
高皇産霊尊(たかみむすびのみこと)の子。大伴氏の祖先神。天孫降臨の際,天津久米命(あまつくめのみこと)とともに,弓矢をもって先導した。「日本書紀」では久米氏の祖先神である天槵津大来目(あめのくしつのおおくめ)(天津久米命)をしたがえたとしている。

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世界大百科事典(旧版)内の天忍日命の言及

【掃部(掃守)】より

…掃守連(むらじ)の祖の天忍人命(あめのおしひとのみこと)が雄略天皇代に掃除の事を監したので掃守連の姓を与えられたという《新撰姓氏録》の説話から,掃守氏は律令制国家以前に宮殿の掃除・鋪設に奉仕した伴造(とものみやつこ)であることがわかる。令制の掃部司・内掃部司・春宮坊主殿署の掃部や殿掃部は伴部である。掃守,掃部は古くは〈かむもり〉と訓ずるが,《古語拾遺》に天忍人命が神武天皇の父の誕生の際の海辺の産屋に供奉しカニをほうきではらったので蟹守(かにもり)と号したと伝えるのは,〈かむもり〉の転訛の〈かにもり〉による語呂合せにすぎない。…

【天孫降臨神話】より

…平定された葦原中国には,あらためて日神の孫瓊瓊杵(ににぎ)尊が降されることになる。皇孫はアマテラスの神言によって支配者的資格を授かったうえ,天忍日(あめのおしひ)命,天津久米(あまつくめ)命(大久米命)を先導とし,天児屋(あめのこやね)命太玉(ふとたま)命天鈿女(あめのうずめ)命石凝姥(いしこりどめ)命玉祖(たまのおや)命ら諸神を伴として日向(ひむか)の高千穂の〈くじふる嶽〉に天降る。そして日向の国に宮居を定めた。…

※「天忍日命」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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