天王寺浜市(読み)てんのうじはまいち

日本歴史地名大系 「天王寺浜市」の解説

天王寺浜市
てんのうじはまいち

四天王寺門前に南北朝頃から立てられた市で、「宝市」(「東山御文庫文書」正平一五年一〇月条)とよばれるほど繁栄した。開催場所の確定はできないが、おそらく西門鳥居付近が中心であったとみられる。天王寺執行政所引付(東京大学史料編纂所蔵)の文明四年(一四七二)の浜市に関する記録によれば、浜市ではさまざまな商品が売買されていたことがわかる。米・酒・麹・栗・柿・塩・あい物(塩干物)などの食料品をはじめ、紙・笠・莚・塗物・松・竹などの日常生活品を扱う商人たちがおり、また衣料品では布座や紺座が、生産用具については鋳物師や鍬の座があった。武具(太刀)も売られていたらしく、さらに貿易品を扱ったとみられる唐物売もあり、これは二貫六〇〇文と多額の公事料を納めている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の天王寺浜市の言及

【市】より

…人々が集まる市は芸能の場でもあり,説教の場でもあった。 南北朝初期,宝市とうたわれた天王寺浜市(大阪)には,布座,米売,柑(こうじ)座など種々の商売物の座があり,また借屋があり,常住のものも見られた。備中国新見荘の市は,3の日に市が立ち,1334年(建武1)には,地頭方のみで,市場在家14軒の屋敷が存在している。…

※「天王寺浜市」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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