天王寺舞楽(読み)てんのうじぶがく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「天王寺舞楽」の意味・わかりやすい解説

天王寺舞楽
てんのうじぶがく

大阪四天王寺において行われる舞楽聖徳太子の忌日に営まれる聖霊会 (しょうりょうえ) をはじめ,同寺の大きな法会 (ほうえ) においては,大規模な舞楽法要が行われたが,現在はそのうち旧暦2月 22日 (新暦4月 22日) に行われる聖霊会舞楽を中心とし,そのほか経供養 (きょうくよう) の「縁の下の舞」や,千日会の「篝 (かがり) の舞楽」などが行われる。聖霊会は俗に「おしょうらい」ともいわれ,大阪における年中行事としても民間に親しまれてきた。その舞楽は,法会舞楽としては最大の規模をもち,四箇法要 (しかほうよう) などの仏事と同時に行われる法要部と,舞楽のみを中心とする入調 (にゅうぢょう) 部とに分けられる。この四天王寺の舞楽を奉仕した楽人が天王寺楽人であり,その居住地の跡に現在,伶人町の名をとどめている。また,その楽人の組織を天王寺楽所ともいい,江戸時代における宮中雅楽再興の際の参加以来,三方楽所 (さんぽうがくそ) の一つとして,その母体ともなった。明治における雅楽局の制定時に吸収されたが,その後帰阪した楽人たちの努力によって 1884年雅亮会 (がりょうかい) が設立され,天王寺楽所の伝統を受継いで現在にいたっている。

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