精選版 日本国語大辞典 「法会」の意味・読み・例文・類語
ほう‐え ホフヱ【法会】
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仏法に関係した集会のこと。法事、仏事、斎会(さいえ)、法要(ほうよう)、法養ともいう。仏・菩薩(ぼさつ)を供養し、斎(さい)(おとき、食事)を設けて物を施し、その教えを説き、あるいは経典を読誦(どくじゅ)したりして、仏徳をたたえる集まりを総称していう。法会はインド以来今日まで盛んに行われ、その種類も多種多様である。
[佐々木章格]
インドでは『十誦律(じゅうじゅりつ)』巻5に、仏が5歳のときに頂髻(ちょうけい)(頭を剃(そ)るとき頂上に残しておくすこしの髪)を切られたのを記念した五歳会(般闍婆瑟会(はんしゃばしつえ)、般遮于瑟会(はんしゃうしつえ))、また6歳のときにふたたび立てられたのを記念した六歳会(娑婆婆瑟会(しゃばばしつえ))や、一般民衆の頂髻を切るのを祝う二月会、成年を祝う入舎会(にゅうしゃえ)などが説かれる。また『摩訶僧祇律(まかそうぎりつ)』巻33には、釈尊に関しては仏生日大会(ぶっしょうにちだいえ)(灌仏(かんぶつ)会。その誕生を記念する)、菩提(ぼだい)大会(成道(じょうどう)会。悟りを開いた日を記念する)、転法輪(てんぼうりん)大会(初転法輪。初めて教えを説いた日を記念する)をはじめ、仏弟子の塔所を供養する羅睺羅(らごら)大会や阿難(あなん)大会などがあげられている。そのほか経律論の三蔵、般若波羅蜜(はんにゃはらみつ)、文殊(もんじゅ)・観音(かんのん)菩薩などを供養する法会も行われた。また『長阿含経(じょうあごんきょう)』第17の「沙門果(しゃもんか)経」や『維摩経(ゆいまぎょう)』巻上には、大施会(だいせえ)、つまり僧俗男女貴賤(きせん)上下を遮することなく、あまねく大衆(だいしゅ)に施与する無遮(むしゃ)大会が説かれる。『大唐西域記(だいとうさいいきき)』巻5には、5年に一度無遮大会を行ったことが伝えられ、巻1の梵衍那国(ぼんえんなこく)の条には、王が仏の入滅(にゅうめつ)の日に、無遮大会を行っていると記される。
[佐々木章格]
中国においても、早くから帝王が斎を設けて僧俗を供養し、また経論を講説討論させることなどが行われた。多数の僧を招く法会を千僧(せんぞう)会、万僧(まんぞう)会などといい、そのほか水陸に飲食を散じてもろもろの鬼に施す水陸(すいりく)会(施餓鬼(せがき)会の一種で、水陸斎(さい)、悲斎(ひさい)会ともいう)、とらえられた魚鳥を山野水辺に放す放生会(ほうじょうえ)をはじめ、華厳(けごん)会、盂蘭盆(うらぼん)会、頭陀(ずだ)会、獅子(しし)会、竜華(りゅうげ)会などの諸会がある。また禅宗の『勅修百丈清規(ちょくしゅうひゃくじょうしんぎ)』や『幻住庵清規(げんじゅうあんしんぎ)』などによると、祝聖(しゅくしん)(聖寿無窮(せいじゅむきゅう)を祝う)、祈祷(きとう)会(祈雨、祈晴、祈雪、除蝗(じょこう)、日食、月食など、災いを除くよう祈る)、楞厳(りょうごん)会(安居(あんご)の無事を祈る)、青苗(せいびょう)会(農家が苗を植えるときその成熟を祈る)、盂蘭盆会、観音菩薩生日(しょうにち)会、達磨忌(だるまき)、百丈(ひゃくじょう)忌、開山歴住忌、嗣法師(しほうし)忌などの諸会が毎年修せられた。
[佐々木章格]
日本では、宮中において御斎(ごさい)会、仁王(にんのう)会、季御読経(きのみどきょう)などが修せられ、平安時代には宮中御斎会、興福寺維摩会、薬師寺最勝(さいしょう)会を南京(なんきょう)三会とし、法勝(ほっしょう)寺大乗(だいじょう)会、円宗(えんしゅう)寺法華(ほっけ)会および最勝会を北京(ほっきょう)三会(天台三会)とし、これらが勅会(ちょくえ)とされた。そのほか諸大寺院では、『三宝絵詞(さんぼうえことば)』巻下などによると、正月の修正(しゅしょう)会から年末の仏名(ぶつみょう)会に至るまでのさまざまな法会が、年中行事として修せられた。大般若(だいはんにゃ)会は『般若経』を供養する法会で、インド以来の風習を伝え、600巻の経とともに十六善神図を奉安する。華厳会は『華厳経』を供養する法会で、五十五所善知識図を道場に掛ける。また南都では唯識(ゆいしき)会、倶舎(くしゃ)会などがある。経典を講説するのを講(こう)といい、のちには広く舎利(しゃり)講、遺跡(ゆいしゃく)講などと称するようになる。各宗においても、祖師の忌日に法会を修してその徳をたたえることが行われる。そのほか、仏像をつくったときの開眼(かいげん)供養、仏堂建立の際の入仏(にゅうぶつ)供養・落慶(らっけい)供養・慶讃(けいさん)会、祖先の追善(ついぜん)のための法会、あるいは彼岸(ひがん)会などさまざまな法会がある。
法会の儀式は一定しないが、通常、道場あるいは仏祖前を荘厳(しょうごん)し、香華(こうげ)・灯明などを献じて、表白(ひょうびゃく)(趣旨を三宝および会衆に告げる)、願文(がんもん)(施主(せしゅ)が願意を述べる)、諷誦(ふじゅ)(経文を唱える)などを行う。このうち重要な役に服する7人の僧、すなわち導師、読師、呪願(じゅがん)師、三礼(さんらい)師、唄(ばい)師、散華(さんげ)師、堂達(どうたつ)が出仕して行う大法会を七僧(しちそう)法会という。また大法会に行う4種の儀式作法(梵唄(ぼんばい)、散華、梵音(ぼんのん)、錫杖(しゃくじょう))を四箇(しか)の法要という。
[佐々木章格]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
固定翼機でありながら、垂直に離着陸できるアメリカ軍の主力輸送機V-22の愛称。主翼両端についたローターとエンジン部を、水平方向から垂直方向に動かすことで、ヘリコプターのような垂直離着陸やホバリング機能...
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