天竜寺(埼玉県)(読み)てんりゅうじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「天竜寺(埼玉県)」の意味・わかりやすい解説

天竜寺(埼玉県)
てんりゅうじ

埼玉県飯能(はんのう)市にある天台宗の寺。山号は大鱗(だいりん)山雲洞院。本尊は子(ね)の聖大権現(ひじりだいごんげん)で、子の権現(子ノ権現)と通称される。紀伊(きい)国(和歌山県)の子の聖(子の年、子の月、子の日、子の刻に降誕)が比叡山(ひえいざん)、出羽(でわ)三山などで修行したのちこの地を訪れたおり、悪鬼が現れて放火したが、聖はやけどを負いながら祈念すると、天竜が現れ豪雨を降らせて火を消し、十一面観音(かんのん)に変じて消え去ったという。弟子の恵聖が師の遺誓を受けて堂宇を建立して開山、自刻の子の聖大権現を本尊として祀(まつ)った。火難除(よ)け、足腰の病に霊験(れいげん)あらたかとされて信者も多い。竜鱗(りゅうりん)石、禁裡(きんり)御贈経、大日如来(だいにちにょらい)像など寺宝多数を蔵する。毎年4月10日が子の権現の縁日

[中山清田]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例