太一丸(読み)たいちまる

日本歴史地名大系 「太一丸」の解説

太一丸
たいちまる

[現在地名]桑名市太一丸・東太一丸ひがしたいちまる

今一色大北いまいつしきおおきた町の北にある町屋敷地。北と東は揖斐いび川およびその入江に臨んでいる。太一丸の地名は、慶長年間(一五九六―一六一五)この地で伊勢神宮の御用材運搬船「太一丸」を造船したことに由来する。当町付近は古くから袖野そでのとよばれた。この辺りは三崎みさきの豪家贄左京之進の所有地で、宝治元年(一二四七)没後浄土じようどう寺に寄進したところである。同寺所有の袖野庵室が当町にある。この付近は景勝の地として知られ、詩歌に数多く歌われている。袖野山僧蓮庵の袖野八景詩では八景として「袖野夜雨、曾川秋月、浄土晩鐘、間遠皈帆、尾山晴嵐、大島夕照、度山暮雪、福島落雁」をあげている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報