桑名市(読み)クワナシ

デジタル大辞泉 「桑名市」の意味・読み・例文・類語

くわな‐し〔くはな‐〕【桑名市】

桑名

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「桑名市」の解説

桑名市
くわなし

面積:五七・三九平方キロ

県北部にあり、愛知・岐阜両県境に近接する位置にある。東は揖斐いび川に沿い、西南に員弁いなべ(町屋川)が流れ、南は両川の河口となり、伊勢湾に面している。西および北は養老ようろう山地の東南端にあたり、標高一〇〇―一三〇メートルの西部丘陵地であり、町屋まちや川の南部は標高一〇〇メートル弱の西南部丘陵地である。東南部は低地が多く、海抜零メートル以下の所もある。桑名の名は「日本書紀」の天武天皇元年六月二六日条に大海人皇子(後の天武天皇)が壬申の乱に際して「桑名郡家に宿りたまふ」とあるのが初見である。

〔原始・古代〕

市域には縄文時代以前の遺跡が発見されておらず、弥生時代以降の古代遺跡が主として丘陵地にみられる。

弥生時代の遺跡としては蛎塚かきづか貝塚・岸西山がんさやま遺跡・西金井にしかない遺跡(弥生―鎌倉)東方台地ひがしかただいち遺跡(弥生―古墳)、古墳は前方後円墳の高塚山たかつかやま古墳、円墳の西林寺さいりんじ古墳がある。また古墳時代の祭祀遺跡として志知しち遺跡がある。寺院跡として奈良時代の西方にしかた廃寺(海善寺)跡・額田ぬかた廃寺(浄蓮寺)跡、古窯跡では奈良時代の西方笹山にしかたささやま窯跡、平安時代の東方古窯跡・七和ななわ古窯跡群がある。

文献上では、上述のように天武天皇元年六月に、大海人皇子が壬申の乱の途上に桑名郡家に泊まり、また「続日本紀」天平一二年(七四〇)一一月二五日条には、聖武天皇が「至桑名郡石占頓宮」とある。また「新撰姓氏録」に「桑名首、天津彦根命の男、天久之比乃命の後なり」とあり、桑名首が当地方開発の豪族と考えられるが、この天津彦根命を祭神とするのが「延喜式」で桑名郡唯一の大社である多度たど神社であり、天津彦根命と天久久斯比乃命を祭神とするのが桑名神社(現桑名宗社)である。

「延喜式」(兵部省)に定める東海道の桑名郡榎撫えなつ駅から尾張国馬津うまづ(現津島市)までは水路であって、木曾川(当時は長良川・揖斐川とも合流していた)を渡河する必要があり、湊として古代交通路の要所であった。式内社のうち、現在の桑名市域と推定されているのは、桑名・尾野おの立坂たちさか深江ふかえ・額田・佐乃富さのとみ中臣なかとみ長谷ながたに平群へぐり星川ほしかわ櫛田くしたの各神社である。また「和名抄」にある郷名のうち、現在の桑名市域と推定されるのは、桑名郡桑名郷・額田郷・野代のしろ郷の一部、員弁郡久米くめ郷の一部である。また「延喜式」には桑名神戸五戸がある。寺院としては、前述の西方廃寺・額田廃寺のほかに、仏眼ぶつげん院・長寿ちようじゆ院・りんそう寺・七和寺(廃寺)が西部丘陵地にあったと伝えられる。


桑名市
くわなし

2004年12月6日:桑名市と桑名郡多度町・長島町が合併
【多度町】三重県:桑名郡
【長島町】三重県:桑名郡
【桑名市】三重県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「桑名市」の意味・わかりやすい解説

桑名〔市〕
くわな

三重県北部,揖斐川長良川木曾川木曾三川伊勢湾に流れ込む河口に位置する市。養老山地の南東部にあり,北で岐阜県,東で愛知県に接する。 1937年西桑名町を桑名町に編入,市制。 1951年桑部村,在良村,七和村の3村,1955年深谷村と久米村の大半,1956年城南村を編入。 2004年多度町,長島町と合体。市名は古来からの郡名による。中心市街地の桑名は,古くから揖斐川の河口港として栄え,江戸時代は東海道の整備に伴い,松平氏 11万石の城下町,港町,宿場町としてさらに発展した。尾張熱田との間に「海上七里の渡し」が通り,港周辺には米,木材の問屋が集中した。現在も濠が残り,城跡は九華公園となっている。鉄道時代に入り幹線からはずれ一時さびれたが,名古屋市の発展に伴い,その衛星都市として再生。良質の川砂を利用した伝統の鋳物工業は全国屈指の規模をもつ。ほかに金属,皮革,化学繊維などの工業や商業が盛ん。沿岸では特産のハマグリのほかウナギ,ノリの養殖が行なわれる。大福田寺をはじめ旧跡・古社寺があり,太夫町の伊勢太神楽は国の重要無形民俗文化財。多度峡,長島温泉を含む木曾三川の下流域一帯は水郷県立自然公園に属する。 JR関西本線,近畿日本鉄道名古屋線,養老線,三岐鉄道,北勢線のほか,国道1号線,23号線,258号線などが集中。東名阪自動車道と伊勢湾岸自動車道のインターチェンジがある。面積 136.68km2。人口 13万8613(2020)。

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