鍋屋町(読み)なべやまち

日本歴史地名大系 「鍋屋町」の解説

鍋屋町
なべやまち

[現在地名]上越市東本ひがしほん町五丁目

稲田鍛冶いなだかじ町の東に続く北国街道(奥州街道)両側町。町の長さおよそ七六間(高田市史)。東端はせき(荒川)に臨み、荒川あらかわ橋を渡ると稲田町。当地は北国街道の城下東北の口で、稲田口(荒川口・黒井口とも)といい、町北側の東端に稲田口番所(荒川番所)があった。正徳年間(一七一一―一六)の高田町各町記録(榊原家文書)に「鍋屋町と申名鍋屋商売仕候故か鍋屋町と申伝候」とあるように、当町は鋳物師の同業者町であった。元禄一七年(一七〇四)の名主土肥佐次右衛門の書出(「頸城郡誌稿」所収)に「慶長七(中略)越前国ヨリ私四代以前之祖父佐兵衛ト申者、御当所ヘ罷越、鋳物師細工致度奉存御願申上候得者、被為御聞届候上、只今之鍋屋町壱町被下置、此家数弐拾弐軒ニ仕、内壱軒者私家并拾壱軒ハ鋳物師ニ、相残拾軒者細工手次タタラ踏ニ相極、鍋屋町壱町取立申候、(中略)松平上総介様御代福島ヨリ高田ヘ御引移被遊候節モ、福島并ニ被為仰相守罷在候」とある。

鍋屋町
なべやまち

[現在地名]桑名市西鍋屋にしなべや町・東鍋屋ひがしなべや町・北鍋屋きたなべや

伝馬てんま町の西にあり、東海道筋の東西一条長さ一九五間の町屋敷地。七曲ななまがり御門から外郭堀を隔てて外側にある。江戸時代以前は江場えば村・本願寺ほんがんじ村の地内であったが、のちに町として独立し、旧江場村は西鍋屋町、旧本願寺村は東鍋屋町と分称する。江戸時代になっても年貢は江場村・本願寺村へそれぞれ上納し西鍋屋町は江場村の氏神神館神明を産土神とし、東鍋屋町は本願寺村の天武天皇社の氏子であった(久波奈名所図会)

鍋屋町
なべやちよう

中京区東木屋町通四条上ル

町の東側はかも川、西側は高瀬たかせ川が南流し、町のやや東寄りを先斗町ぽんとちよう通が通る。

町名は、筆描図系では、寛文後期洛中洛外之絵図に「鍋屋町」とみえ、以後変化はない。木版図系では、寛永一八年以前(一六四一)平安城町並図、承応二年(一六五三)新改洛陽並洛外之図に「(こりき丁)」とあり、寛文五年(一六六五)刊「京雀」には「(木や町)四丁め」とし、元禄九年(一六九六)京大絵図では「小刀(丁)」とするが、宝暦一二年(一七六二)刊「京町鑑」は「鍋屋町」とし、以降変化はない。元禄七年刊「京独案内手引集」によれば、樵木・薪炭商の多くいたことがうかがえる。

鍋屋町
なべやちよう

[現在地名]東区いずみ二丁目

きよう町筋、小牧こまき町の東、しん町の西にあり、善光寺ぜんこうじ筋と石垣屋横いしがきやよこ町との間をいう(府城志)。慶長一六年(一六一一)清須きよす(現西春日井郡清洲町)の鍋屋町より鍋職の者が多数移り住み、旧号をとなえた(金鱗九十九之塵)。鋳物師の水野太郎左衛門が居住し、当町の裏にある鉄細工場の地所長さ一八間・幅一〇間は免税であった。

鍋屋町
なべやちよう

[現在地名]奈良市鍋屋町

由留木ゆるぎ町の西にあり、二条通に沿う。「奈良曝」に「石や町壱つニ合、町役四十五軒」「なべや有」とあり、石屋いしや町については「なべや町の内にして、北側に石屋有。御奉行所の黒門北に見ゆる」と記す。「多聞院日記」永禄一一年(一五六八)六月二日条には「喜多院ノ北ノ方石切ノ町ニ筒井ヨリ城拵了、ヤクラ屏一円ナラ中ヘ申懸、人夫以下直カケラレ了、先代未聞之事、珍事々々」とある。

鍋屋町
なべやちよう

下京区麩屋町通仏光寺下ル

南北に通る麩屋町ふやちよう(旧富小路)を挟む両側町。

平安京の条坊では町の西側は左京五条四坊三保一一町の東、町の東側は同一四町の西側の地にあたり、平安時代中期以降は高辻富小路の地。

「拾芥抄」に「大将軍堂上一条北、西大宮・中高辻北、 下七条北、東洞院西已上有三箇所」とあり、町域内に、暦の八将神の一つ大将軍を祀る堂舎があったようだ。

鍋屋町
なべやまち

[現在地名]大津市中央ちゆうおう二―三丁目

米屋こめや町・南保みなみほ町の南にある。元禄八年町絵図に町名がみえ、家数合せて一四で、家持商人は一三軒、ほか番屋(用人六兵衛)がある。番屋の前に池、町の南端に木戸門と考えられる門が描かれる。

鍋屋町
なべやちよう

[現在地名]伊丹市みやまえ二丁目

伊丹町を構成する二七ヵ町の一つ。ほん町筋の西を並行して走る南北道を挟んだ両側町で、綿屋わたや町の西に位置する。

鍋屋町
なべやまち

[現在地名]和歌山市鍋屋町

ほん町七丁目と八丁目の間を東へ入る横町で、東は藩の「御厩」の北西隅に突当る。元禄一三年(一七〇〇)の和歌山城下町絵図には町名はなく、南側武家屋敷地で、北側西寄りにのみ町屋が描かれる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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