太奈保(読み)たなほ

日本歴史地名大系 「太奈保」の解説

太奈保
たなほ

鎌倉期からみえる保。紀州高野山領。現田野たの町を遺称地とし、現新居見にいみ町を含む一帯に比定される。多奈保とも記す。建仁三年(一二〇三)一〇月二〇日の紀伊国司庁宣(高野山文書)に「勝浦・太奈・牛牧等庄」とあり、高野山の勝蓮花しようれんげ(現和歌山県高野町)米料所であったが、国衙船所の書生・梶取らが「御幸渡船料」と号して当庄などから高野山に運上される物資を妨げることを停止するよう留守所に命じている。南北朝期頃に書かれたと考えられる大中臣氏略系図(桐村正春氏所蔵文書)に、承久年間(一二一九―二二)頃の人物として実広がみえ、その注に「号近藤武者、亀功文也」「此子孫ハ越後国三条庄、大槻庄小河山、阿波国多奈保新居郷、出羽国雄勝郡西マウナイノ郷内アサイシカナイ両村地頭也」と記される。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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