太陽踊り
たいようおどり
sun dance
19世紀の北アメリカ平原インディアン諸民族に特徴的な宗教儀礼。各民族集団ごとに年1回,夏の初めに行われるのが通例で,他民族集団の客も多数招かれ,宇宙や超自然的存在にかかわる古来の信仰を再確認するという重要な意義をもつ。初めはアラパホー族,シャイアン族,スー族などに限られていたが,19世紀末にはカナダからテキサスにいたる大平原全域に広まった。太陽踊りは,もともと神の助けをかりて超自然力を得ようとする個々人の探求行為であったが,やがて集団全体の行事へと発展し,儀式の内容も複雑化した。最盛時には,まず巨大なキャンプの円陣が設営され,さまざまな準備を整えたのち,中央に太陽を象徴する柱をもつ踊り場が組立てられた。前座の踊り,祭壇の設置に続いて太陽踊りが開始され,断続的な休みをはさんで数日間,昼も夜も続けられる。 1904年には,過酷な荒行を禁止する合衆国政府の法令が出されたが,穏やかな形態の儀礼はその後も続けられ,最近では伝統的な太陽踊りを復活させようとする動きもみられる。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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