契沖旧庵〈円珠庵〉ならびに墓(読み)けいちゅうきゅうあん〈えんじゅあん〉ならびにはか

国指定史跡ガイド の解説

けいちゅうきゅうあん〈えんじゅあん〉ならびにはか【契沖旧庵〈円珠庵〉ならびに墓】


大阪府大阪市天王寺区空清町にある庵跡。江戸時代の国学研究の基礎をつくった契沖(1640~1701年)の足跡を顕彰する重要な場所として、1922年(大正11)に国の史跡に指定された。現在、上町(うえまち)台地真田山の西にある円珠庵に引き継がれており、円珠庵は真言宗御室派に属し、契沖が初めて業を受けた妙法寺の末寺。旧庵は本堂の西に建てられた桁行5間、梁行3間半の茅葺きの建物で、戦前までは江戸時代の珍しい旧態を残していたが、空襲で全焼した。契沖は尼崎に生まれ、11歳のとき今里の妙法寺で出家高野山で修行し各地を流浪した。代表的著作である『万葉代匠記(まんようだいしょうき)』は水戸光圀(みとみつくに)の依頼で、師の下河辺長流(しもこうべちょうりゅう)に代わって万葉集を注釈したもの。古典研究の底に流れる復古思想は、荷田春満(かだのあずままろ)、賀茂真淵(かものまぶち)、本居宣長(もとおりのりなが)らに引き継がれ和学・国学の主流をなした。契沖の墓は本堂裏の墓地内にあり、親交のあった下河辺長流、医師華岡鹿城の墓もある。地下鉄谷町線谷町六丁目駅から徒歩約10分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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