奥殿陣屋跡(読み)おくとのじんやあと

日本歴史地名大系 「奥殿陣屋跡」の解説

奥殿陣屋跡
おくとのじんやあと

[現在地名]岡崎市奥殿町 雑谷

大給松平氏一万六千石の陣屋。正徳元年(一七一一)大給おぎゆう(現豊田市)より移転した。文久三年(一八六三)信濃国佐久郡田野口たのくち村に藩主松平乗謨の指示で居城を替わるまで七代の奥殿藩陣屋であった。奥殿藩領は三河国加茂郡三三ヵ村と額田郡七ヵ村の四千石と信濃国佐久郡二五ヵ村一万二千石と分れていた。

移転前の大給陣屋設置は、寛永四年(一六二七)松平真次が大給は祖先の地であることを理由に上野国の知行地を三河国に総村替してもらうことに端を発する。三河国の領地は一村平均村高は約一〇〇石。信濃国佐久郡内の領地は一村平均村高は四八〇石余となる。「大給亀崖公伝」によると、大給の地は「山岳の間に在りて、土地がやせ五穀豊ならず」とある。産業経済・交通の発展に伴い山間村の居城陣屋に不便を感じて、明応二年(一四九三)以来大給松平氏の領地で三河国領地内では最大村高の奥殿村に陣屋を移したと考えられる。

奥殿陣屋図は幕末から明治五年(一八七二)までの間と考えられるものが現存する(中根家文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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