不便(読み)フビン

デジタル大辞泉 「不便」の意味・読み・例文・類語

ふ‐びん【不便/不×憫/不×愍】

[名・形動]《「不憫」「不愍」は当て字
(不憫・不愍)かわいそうなこと。あわれむべきこと。また、そのさま。「―な子」
都合が悪いこと。また、そのさま。
「この大臣のし給ふ事なれば、―なりと見れど」〈大鏡・時平〉
かわいがること。また、そのさま。
一芸あるものをば下部までも召しおきて、―にせさせ給ひければ」〈徒然・二二六〉
[派生]ふびんがる[動ラ五]ふびんさ[名]
[類語]気の毒可哀相哀れ痛痛しい痛ましい哀れむ思いやる思うおもんぱかいとおしむほだされるいたわしい忍びない見るに忍びない見るに堪えない身につまされる

ふ‐べん【不便】

[名・形動]便利でないこと。都合の悪いこと。また、そのさま。「狭くて不便な家」「通勤不便土地
[派生]ふべんさ[名]
[類語]不自由不如意不随事欠くままならぬ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「不便」の意味・読み・例文・類語

ふ‐びん【不便・不憫・不愍】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 )
  2. [ 一 ] ( 不便 ) 都合の悪いこと。また、そのさま。不都合。ふべん。
    1. [初出の実例]「夜昼候はせ給ふなること侍るらんと思ふこそ、いとふびんなれ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開上)
  3. [ 二 ] ( 「不憫・不愍」とも書くが、あて字 )
    1. かわいそうなこと。気の毒なこと。また、そのさま。
      1. [初出の実例]「涙もろにものし給へば、いとふびんにこそ侍れ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)野分)
      2. 「忠義の為とはいひながら、科なきおことを無代に殺せし、不便(フビン)さよ」(出典:読本・昔話稲妻表紙(1806)一)
    2. かわいいと思うこと。愛憐の情を感じること。また、そのさま。
      1. [初出の実例]「いとふびんなる人から、仲忠の朝臣と等しくなん、かたち・心・身の才侍る」(出典:宇津保物語(970‐999頃)吹上上)

不便の補助注記

[ 一 ]に関して「不便」の読みは、「ふびん」「ふべん」の両様あるが、近代以降は「ふべん」が一般的であるため、近代の例は「ふべん」の項に挙げた。


ふ‐べん【不便】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 )
  2. 便利でないこと。都合の悪いこと。かってがよくないこと。また、そのさま。不便利。ふびん。
    1. [初出の実例]「其便不便も固より論を俟たさるなり」(出典:改暦の詔‐明治五年(1872)一一月九日)
    2. [その他の文献]〔荀子‐議兵〕
  3. かわいそうなこと。かわいいと思うこと。また、そのさま。ふびん。
    1. [初出の実例]「不便 フヘン 悼意」(出典:黒本本節用集(室町))

不便の補助注記

→「ふびん(不便)」の補注


もや‐もや【不便】

  1. 〘 名詞 〙 ( 疑問推量の意を表わす助詞「も」「や」を重ねたものから ) 頼りないこと。不確実で心もとないこと。
    1. [初出の実例]「久しく老疾に苦ぶる者は、進止(ふるまひ)不便(モヤモヤ)にして、浄地亦穢る」(出典:日本書紀(720)天武八年一〇月(北野本訓))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「不便」の読み・字形・画数・意味

【不便】ふべん

不都合。

字通「不」の項目を見る

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