岡崎市(読み)オカザキシ

デジタル大辞泉 「岡崎市」の意味・読み・例文・類語

おかざき‐し〔をかざき‐〕【岡崎市】

岡崎

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日本歴史地名大系 「岡崎市」の解説

岡崎市
おかざきし

面積:二二七・〇五平方キロ

県内のほぼ中央、南北に流れる矢作川の中流に位置し、地勢は市街地を中心に、北東部から東部、さらに東南部方面にかけては山地または丘陵地が多く、北西部から西部、さらに矢作川下流にかけては沖積平野が展開する。古くは矢作やはぎ宿といわれ、承久三年(一二二一)に没した飛鳥井雅経の「明日香井集」や貞応二年(一二二三)の「海道記」にその名がみえる。ほかに「源平盛衰記」「平家物語」などにもみえ、この矢作宿がのち岡崎とよばれるようになった。岡崎の初出は連歌師宗祇の「名所方角抄」に「矢矧里河有(中略)渡れば岡崎と云宿有」とあり、また「宗長手記」に「今は岡崎といふ。松平次郎三郎の家城なり」とある。

〔原始・古代〕

先土器時代の尖頭器・細石刃などの石器が大西おおにし五本松ごほんまつ丸山まるやま村上むらかみ仁木につき東郷とうごうなどで発見され、次いで縄文式遺跡も市域各地で発見されている。なかでも矢作川支流おと川右岸の段丘上にある丸山町村上遺跡からは縄文早期の屋外炉一ヵ所、同中期の住居跡二軒が発見され、乙川と矢作川が合流する低段丘上にある六名むつな真宮しんぐう遺跡からは、縄文晩期の集落跡が発見されている。一世紀余の間、尾張以西で足踏みして三河に広まった弥生式文化の遺跡も各地にみられる。青木あおき川と矢作川合流点の南方にあるくち味噌粕岩みそかすいわ遺跡は、現在のところ矢作川流域における最初の稲作農耕を示す遺跡として注目され、その北方台地にある岩津いわづ於御所おごそ遺跡からは竪穴住居跡六五ヵ所が発見され、また、縄文との複合遺跡である真宮遺跡からは方形周溝墓が発見されている。

市域で最も古いといわれる六供ろつく甲山かぶとやま古墳は畿内での古墳築造期から遅れて四世紀末または五世紀初頭と推定される。五世紀の中期古墳になると、市域で二〇基余の存在が確認されている。六、七世紀の後期古墳は一五〇基以上の存在が確認され、前中期の古墳とは違って丘陵の斜面や稜線に小規模なものが群集して築かれ、横穴式石室に複数の埋葬が行われている。三河最大の横穴式石室をもつ丸山町神明宮しんめいぐう一号墳、画文帯神獣鏡が出土した同町亀山かめやま一号墳などが注目される。なお、七世紀後半になると、古墳の築造に代わって物部氏ともいわれる地方豪族による氏寺が建立された。矢作川右岸台地の北野きたの廃寺跡は白鳳時代のもので、四天王寺式の伽藍配置であった。

大和朝廷が成立すると、市域は額田郡に属し、「和名抄」所載の郷には新城にいき鴨田かもだ位賀いが額田ぬかた麻津おつ六石むついし大野おおのの七郷と山綱やまつなの駅家があった。

岡崎市
おかざきし

2006年1月1日:岡崎市が額田郡額田町を編入
【額田町】愛知県:額田郡
【岡崎市】愛知県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「岡崎市」の意味・わかりやすい解説

岡崎〔市〕
おかざき

愛知県中部にある中核市。 1916年市制。 1955年に福岡町,岩津町,矢作町の3町と竜谷村,藤川村,山中村,本宿村,河谷村,常盤村の6村,1962年に六ッ美町をそれぞれ編入。 2006年に額田町を編入。矢作川の下流域にある岡崎平野の中心都市。鎌倉時代には乙川 (大平川) 南岸を鎌倉街道が通じ,矢作川の東宿として発展。康正1 (1455) 年西郷稠頼 (さいごうつぎより) が岡崎城を築城。大永4 (1524) 年には松平清康が城主となり,城下町として発展。天文 11 (1542) 年徳川家康はこの城で誕生。近世には東海道の宿場,矢作川の河港,徳川譜代大名5万石の城下町として繁栄した。明治4 (1871) 年廃藩置県の際,三河1国と知多郡が額田県となり,岡崎はその中心となった。古くから三河木綿の産地で,1879年がら紡が山地の渓谷に導入されてから,その生産は全国一を誇った。化学繊維,自動車部品などの工業が盛ん。東部の額田は林野率が 80%をこえ,スギやヒノキの林業地として知られる。特産物は地元産の花崗岩からつくる石碑,石灯籠,家康の火薬秘伝を受け継ぐ玩具花火,八丁味噌,三州釜,木工製品,額田茶など。市内には徳川氏関係の社寺旧跡が数多くある。滝山寺の三門と本堂,滝山東照宮,妙源寺柳堂,信光明寺観音堂,大樹寺多宝塔,上地八幡宮本殿,土呂八幡宮本殿,伊賀八幡宮,六所神社などは国の重要文化財に指定されている。国の史跡に北野廃寺跡大平一里塚,真宮遺跡があり,「岡崎ゲンジボタル発生地」は国の天然記念物である。東海道本線開通の際,住民が駅設置に反対したため,JR岡崎駅は市の中心より南方 3kmにある。名古屋鉄道名古屋本線,愛知環状鉄道,国道1号線,248号線が通じ,東名高速道路の全通に伴い,名古屋市の住宅衛星都市としての機能が強まっている。面積 387.20km2。人口 38万4654(2020)。

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