女国(読み)じょこく(英語表記)Nü-guo; Nü-kuo

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「女国」の意味・わかりやすい解説

女国
じょこく
Nü-guo; Nü-kuo

北史』『隋書』に伝えられる女国は,『西域記』の「東女国」に相当し,今日のラダック地方に位置する。『旧唐書』『新唐書』に伝えられる東女国は中国四川省の金川方面に位置し,古くからゲルモロン (女王の谷) として知られ,清代にもダン sBrang氏を母方とし,ラン rLangs氏を父方として複合氏名を名のる女土司がその地に君臨していた。ラン氏 (スムパ族) の伝承によれば祖先は西チベットにいたとされ,『西域記』の東女国との関連が認められる。彼らは父系吐蕃王家と共通の祖をもち,ソンツェンガンポが王国を統一する際にスムパ族として最初に提携協力している。いずれの女国も女子が選ばれて王となり,その夫は軍務に服した。西の女国は黄金を産し,塩をインドに売ったとされ,そのためスバルナ (黄金) 族と呼ばれ,女王の夫も「金の王 (聚 tshe'u) 」と称した。四川の東女国のダンの氏名はスバルナの転訛と解され,金川の名もその関係を反映している。

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