女子顔面黒皮症
じょしがんめんこくひしょう
Melanosis facial feminina
(皮膚の病気)
接触皮膚炎(かぶれ)の特殊なタイプで、皮膚の色素沈着がみられるため顔面に黒褐色の強い色素沈着が現れます。
化粧品などによる接触皮膚炎によって、正常では表皮にあるメラニン色素が真皮に落ち込んで貯留するために起こる色素沈着が原因です。原因物質には、タール色素の赤色219号、ズダンⅠ、ジャスミン油、パラベンなどがあります。
中年の女性に多く、顔面の頬、額などに、網目状またはびまん性の濃褐色から紫褐色の強い色素沈着を示します。これらに混じって、赤い炎症性の色調がみられることもあります。
原因として疑われる化粧品などについて、貼付検査(パッチテスト)を行うことが必要です。化粧品を絆創膏につけて2日間貼付します。
原因物質の検索を行い、接触を避けることが大切です。炎症が強い場合はしばらくステロイド薬を外用します。原因物質との接触を避けることでよくなりますが、色素沈着がとれるまで数年かかる場合もあります。
原因となっている化粧品の使用を中止することが必要です。皮膚科専門医を受診して、どの化粧品が原因物質となっているかについての検査を受けてください。
堀川 達弥
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
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家庭医学館
「女子顔面黒皮症」の解説
じょしがんめんこくひしょう【女子顔面黒皮症 Riehl Melanosis, Female Facial Melanosis】
[どんな病気か]
リール黒皮症とも呼ばれます。女性の顔面にみられる、かゆみや発赤(ほっせき)をともなう色素沈着です。額(ひたい)やまぶた、あご、くびなど、やや広い範囲に紫色調で灰褐色の色素が沈着します。境界は不鮮明で、しばしば網目状になります。
[原因]
化粧品によるかぶれをくり返し、炎症後に色素が沈着することでおこります。紫外線で変化した化粧品の成分がかぶれの原因になる場合(光接触皮膚炎(ひかりせっしょくひふえん))もあります。
[治療]
必ず専門医を受診し、パッチテストなどを行ない、原因となる化粧品を見つけてもらいます。
原因となる化粧品を使わないことが第一です。発赤やかゆみがある間は、ほかの化粧品の使用もやめ、軟膏(なんこう)治療を行ないます。炎症がなくなれば化粧品を使うことができますが、使用前に必ず検査をしてもらい、安全が確認されたもののみを使うようにしましょう。
出典 小学館家庭医学館について 情報
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の女子顔面黒皮症の言及
【黒皮症】より
…全身性のものとしては,ヒ(砒)素黒皮症,慢性副腎皮質不全症であるアジソン病患者や,末期の悪性黒色腫患者の皮膚などにみられるが,いずれもきわめてまれなものである。主として中年期以後の女性の顔面にみられる女子顔面黒皮症melanosis faciei femininaは,第1次大戦直後にオーストリアで多発し,リールG.Riehlによって報告された。日本でも第2次大戦後に多くの症例がみられ,リール黒皮症,戦争黒皮症とも呼ばれる。…
※「女子顔面黒皮症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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