日本大百科全書(ニッポニカ) 「女性管理職比率」の意味・わかりやすい解説
女性管理職比率
じょせいかんりしょくひりつ
企業、団体、官公庁などの管理職に占める女性の割合。国際社会や金融市場などで、女性の活躍や多様性(ダイバーシティ)による競争力の高さを示す指標として活用されている。厚生労働省は課長相当職以上を管理職と定義しており、日本の女性管理職比率は2019年(令和1)実績で14.8%。2019年実績で、アメリカ40.7%、スウェーデン40.2%、イギリス36.8%、フランス34.6%など欧米では30%を超える国が多く、アジアでもフィリピン50.5%、シンガポール36.4%(2018年実績)、マレーシア24.6%(同)など、その比率は決して低くない。世界経済フォーラム(WEF)の2022年版ジェンダー・ギャップ指数によると、日本の女性管理職比率は146か国中116位と、主要7か国(G7)では最低で、韓国(99位)や中国(102位)よりも低い。
日本政府は2003年(平成15)、女性管理職比率を2020年までに30%程度とする目標を掲げたが、実現が見通せず、2020年に「2020年代の可能な限り早期に」との目標に改めた。2022年に完全施行された女性活躍推進法(正称「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」平成27年法律第64号)は、政府、自治体、企業などに女性管理職比率の目標などを盛り込んだ行動計画の策定と公表を義務づけ、女性の管理職登用を促している。しかし、日本では女性の活躍を促す代表的手法として各国が導入しているクオータ(一定数・比率の割当て)制は採用していない。
[矢野 武 2022年11月17日]