婚約不履行(読み)こんやくふりこう

知恵蔵 「婚約不履行」の解説

婚約不履行

婚約不履行(婚約破棄)の法的に正当な理由は、不貞、性病、性交不能、精神病、同性愛、異常な性癖など。正当な理由もなく婚約を破棄した者は、損害賠償義務を負う。財産的損害は、結納の費用、結婚を予期して勤務先を退職したことによる逸失利益、むだになった新婚生活用の支度、挙式後であれば式・披露宴の費用などがある。精神的損害については慰謝料を支払わなければならない。なお、結婚詐欺は、その意思がないのに結婚するとして相手から金銭・物などをだまし取ることで、詐欺罪になる。詐欺罪は金品・財産等をだまし取ることについて成立する犯罪。従って、結婚するとして性関係を結んだ後に別れる行為は詐欺罪にはならない。しかし、被害者は相手に対し、婚約の不当破棄あるいは貞操権(人格権)の侵害を理由に損害賠償(慰謝料)の請求ができる。

(吉岡寛 弁護士 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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