エンゲージメントリング。婚約成立の証(あかし)として、普通男性から女性へ贈る指輪のこと。元来これは日本の習慣ではなく、欧米諸国の習慣が伝えられてきたものである。婚約指輪が始まったのは古代ローマ時代からといわれている。これは男性の永遠に変わらない保護を意味する。丸い輪はとぎれることがなく、また魔を防ぐものともいわれている。
イギリスでは、16世紀エリザベス1世の時代には、婚約指輪を贈られたら右手にはめ、結婚式の当日それを外して左手にはめ直したとあるので、その時代には、結婚と婚約の指輪は同一のものであったことがわかる。ダイヤ、サファイア、ルビー、エメラルドなど誕生石を贈る習慣も古くからあり、これは魔除(まよ)けになり、幸運をもたらすというヨーロッパの伝説によるものである。現在日本ではダイヤモンドがいちばん多く使われ、人気がある。ダイヤは宝石のなかでもっとも硬さと透明度が高いので、愛の固さを表しているとされる。
[石川朝子]
…薬指medical fingerという呼称がすでにギリシア・ローマの時代に用いられたのは,この指で薬を調合すれば有毒なものが混じっても直ちにわかるとされたからで,今も薬指以外の指で軟膏を塗ったり肌をかくのは良くないとする迷信が広く残っている。またこれを環指digitus annularisとローマ人が呼び,黄金の指gold fingerまたはannular fingerとアングロ・サクソン人が呼んだのは,心臓とこの指とをつなぐ分枝のない血管(または神経)があるから,これに金の指環(ゆびわ)をはめれば心をとらえることができると信じられたからで,婚約指環は今もこの指にする。ラブレーの《第三之書パンタグリュエル》に,高価なガマ石をちりばめた美しい金の指環を女の薬指にはめる話があるのもこれである。…
…装身具の一種。指輪はほかの装身具より文化性が高いといわれる。未開社会では首飾,腕輪,耳飾などを用いるが,指輪はあまり用いない。つねに狩猟や採集,あるいは農耕にたずさわっている人々には,指輪がじゃまになるからである。バビロニアやアッシリアでも指輪は用いられていなかった。指輪の歴史が始まるのは古代エジプトあたりからで,金のほか貝殻や軟らかい石や紫水晶のものがつくられ,大衆用には陶器のものがあった。エジプトでは指輪にスカラベを彫ったもの,あるいは指輪の飾台(そこに認印のしるしが彫られた)をスカラベ形にしたものが幸運のしるしとして用いられた。…
※「婚約指輪」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新