改訂新版 世界大百科事典 「子授け」の意味・わかりやすい解説
子授け (こさずけ)
子のない者,子の欲しい者が神仏に妊娠祈願をする風は現在もひろく行われ,種々の俗信,呪法がある。子授けの神としては,土地により異なるが,子安神,子安観音,子安地蔵,淡島(あわしま)様(淡島信仰),塩釜様,関東地方に多い産泰様などが信仰されている。子どものある人と一緒にまいると子が授かるといい,授かったらお礼参りにいく。子どもがなかなかできない時には,他から子どもをもらって育てていると,やがて妊娠して実子が生まれるという地方も多い。このモライゴをタネゴとかセリゴなどと呼ぶ。また神ばかりでなく子産石(こうみいし)とか子持石,子得石(こうるいし)などという,海や川から拾ってきた石を毎日拝むと子ができるとか,道祖神へ供えた石で腹をなでるとできるなどという。その他,他人のえな(胞衣)を食べたり,またいだりするとみごもるなど,えなと関係する子授けの俗信もひろくみられる。
執筆者:大藤 ゆき
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報