日本大百科全書(ニッポニカ) 「孔叢子」の意味・わかりやすい解説
孔叢子
くぞうし
中国、孔子8世の孫、漢の孔鮒(こうふ)(字(あざな)は子魚)の撰(せん)と伝えられる書。孔子およびその代々の子孫の言行を載せる。この書名が『漢書(かんじょ)』芸文志(げいもんし)にはみえないこと、その内容が雑駁(ざっぱく)であることより、『孔子家語(けご)』と同様、魏晋(ぎしん)のころの偽作とみなされる。現行本は、1巻21編のほかに、やはり孔子の子孫、孔臧(こうぞう)の著と伝えられる賦(ふ)(漢詩体の一つ)と書からなる上下2編の『連叢子(れんぞうし)』が付加されている。『孔叢子』中には、資料的信憑(しんぴょう)性は低いが、名家(めいか)の公孫竜(こうそんりゅう)が登場する公孫竜編、墨子(ぼくし)を非難した詰墨(きつぼく)編や、文字の訓詁(くんこ)を記した小爾雅(しょうじが)編なども含まれている。なお、その書の独治編によれば、撰者に擬せられる孔鮒は、陳勝に仕えて博士になったという。
[伊東倫厚]