普及版 字通 「它」の読み・字形・画数・意味
它
5画
(異体字)蛇
11画
[字訓] へび・ほか
[説文解字]
[字形] 象形
頭の大きな蛇の形で、蛇の初文。〔説文〕十三下に「虫(き)なり。虫に從ひて長し。曲(ゑんきよく)垂尾の形に象る」とし、「上古、艸居(さうきよ)して它を患(うれ)ふ。故に相ひ問ひて、它無きかといふ」とあり、のち「恙(つつが)無きか」というのと同じ語である。卜辞に災禍の有無を問うて「(たたり)(な)きか」、また「乙は王にするか」のように、祟(すい)と同じ意に用いる。祟は呪霊をもつ獣の象形字。・祟いずれも、その呪霊によって災禍を加えうるものと考えられた。字はまた也・它に作り、它は金文や古籍に、他の初文として用いる。
[訓義]
1. へび、まむし。
2. ほか、よそ。
[部首]
〔説文〕に部首とするも、部属の字なく、蛇を它の重文として加える。また〔玉〕に(ち)の異文を、多声の字として加えている。
[声系]
〔説文〕に它声として、佗・沱・鉈など九字を収める。佗は負荷、沱は旁流する溜り水、鉈は短矛。みな、まるくふくれた形のものをいう。它がとぐろを巻く形への連想があるのであろう。
[語系]
它thai、蛇djyaiは声義近く、它は蛇の初文。它をのち他thaiの意に用いて、声義が分化した。
[熟語]
它意▶・它▶・它界▶・它岐▶・它故▶・它山▶・它志▶・它時▶・它日▶・它所▶・它心▶・它腸▶・它人▶・它年▶・它比▶・它法▶・它門▶
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報