宇南寺(読み)うなんじ

日本歴史地名大系 「宇南寺」の解説

宇南寺
うなんじ

[現在地名]美甘村美甘

美甘の字河田こうた新庄しんじよう川南岸の河岸段丘(宇南寺段)上にあり、高野山真言宗。覚鑁山と号し、本尊大日如来。開基は行基、空海、空海の孫弟子覚鑁の諸説がある。全盛時代は現存する遍照へんじよう院を中心に、二院六房が栄えたといわれ、元弘の乱で隠岐島に配流された後醍醐天皇が、その途次寄宿し、二通の綸旨を下賜されたという伝承をもつ。中世後期には「美甘村」五二名の父老がこの寺に集合して村寄合を行っており、これを「宇南寺寄合」と称した(作陽誌)

元禄三年(一六九〇)京都大覚寺直属の勅願寺から香々美かがみ円通えんつう(現苫田郡鏡野町)末寺となったが、寛政年中(一七八九―一八〇一)勝山藩の援護により大覚寺の直末に加えられた(村誌美甘)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の宇南寺の言及

【美甘[村]】より

…山林が村域の大部分を占め,林業やシイタケ栽培も行われている。後醍醐天皇が隠岐に流される途中で宿泊したと伝えられる宇南寺は,12世紀末の創建になる。【上田 雅子】。…

※「宇南寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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